1月23日ナワルヌイ氏呼びかけによる反政府デモ、ロシアでの報道「駐ロシア米国大使館の役割」

この件、日本での報道は、各ニュースメディアのトーンは同じで、西側諸国の反ロシアの立場をとっています。つまり、ロシアによるナワルヌイ氏の拘束は不当で、政権側による政敵への理不尽な抑圧であるという立場で、今回のデモ参加者に対する暴力行為や拘束を強く非難するものでした。

産経新聞:【主張】露反体制派拘束 抑圧は反発と孤立を招く

https://www.sankei.com/world/news/210125/wor2101250003-n1.html

読売新聞:露の抗議デモ、120都市で3600人拘束…ナワリヌイ氏は「クレムリンの中央監獄」に

https://www.yomiuri.co.jp/world/20210124-OYT1T50094/

毎日新聞:「プーチンは泥棒だ」露のデモ、100都市以上で 政権の求心力低下浮き彫り

https://mainichi.jp/articles/20210124/k00/00m/030/138000c

朝日新聞:ロシア全土で反プーチンデモ ナバリヌイ氏の解放求める

https://www.asahi.com/articles/ASP1R6WV5P1RUHBI01C.html

一方ロシアのメディアは当然ながら、ナワルヌイ氏拘束は、政敵であることとは無関係で過去の詐欺事件に対する執行猶予期間中の出頭拒否に対する裁判所判断とし、デモ参加者の拘束はデモが無許可だったためで、かつコロナの感染防止でもあるとの姿勢です。

モスクワ警察は、反対運動で道路を封鎖したとして刑事訴訟を起こす

TASSやイズベスチヤなどロシア主要メディアの論調は同じです。特にイズベスチヤはかなりの紙面を割いて1月23日のデモの様子や背景をまとめているので、興味のある方は以下のURLをご参照ください。

https://iz.ru/1115664/robert-lanskii-valeriia-nodelman-ekaterina-iasakova/test-na-protest-chem-zakonchilis-nesanktcionirovannye-aktcii-23-ianvaria

この記事では、デモ参加者に狂信的なナワルヌイ支持者や反プーチン感情を持っている人々は少なかった、ことを述べています。デモの当初はデモ隊が参加者にお茶を配ったり、少女の参加者がデモの背景をよく知らずにいたことなど、このデモが開催する側も取り締まる側も当初から非常に緩い雰囲気であったことを伝えています。

ロシア側からの23日の抗議活動の見方として、日本では報道されなかったことがあります。TASSが他のロシアメディアと同様、このデモに関する駐ロシア米国大使館の役割ついての記事を載せています。1月23日23時45分の記事です。

Захарова: дипломатам США придется объясниться по публикациям о “маршрутах протестов” в РФ 「サハロバ:米国の外交官は、ロシアの「抗議のルート」についての公表について説明する必要がある。」

https://tass.ru/politika/10531197

記事の内容は「クレムリンへのデモの動きは、主催者でさえ何の支持もしていなかったのが、唯一米国大使館がウェブ上に載せた。これはあたかもデモの先導や指示にも見える。このようなことをしたことについての説明を求める。」というものです。つまり、デモのルートについてアメリカ大使館は事前に知っていたか、あるいはそこに行くよう指示を出す役割も担っていたことを示唆する記事の内容になっています。

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東京オリンピック開催有無に関する報道の違い、ロシアと日本

本日の日本の報道では、開催については日本側では肯定的な報道が主でした。

産経新聞ウェブ版 1月21日21時47分の記事の見出しですが、「IOCバッハ会長、五輪の中止・再延期を否定」とあります。

https://www.sankei.com/tokyo2020/news/210121/tko2101210005-n1.html

一方、ロシアのニュースメディアRTでは、日本政府高官の私的な意見として以下の見出しの記事を挙げました。これは日本時間1月22日午前3時17分の記事です。英国メディア The Times紙を引用しています。

タイムズ:日本の当局は2021年にオリンピックをキャンセルする予定です

The Times: власти Японии планируют отменить Олимпиаду в 2021 году

意味は「タイムズ:日本の当局は2021年にオリンピックをキャンセルする予定だ。」というとてもストレートな表現です。記事の内容は、日本政府の高いレベルの個人的な見解として「誰も最初に言いにくいことだが、仲間内では開催はできないでろうという意見で一致している。」という内容でした。

因みに、品用元のThe TimesのURLを貼っておきます。

https://www.thetimes.co.uk/article/japan-looks-for-a-way-out-of-tokyo-olympics-because-of-virus-lf868xfnd

見出しは、Japan looks for a way out of Tokyo Olympics because of Covidでした。

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ロシアでも西側でも取り上げられているナワルヌイ氏による動画投稿と23日のデモの呼びかけ、ロシアしか取り上げていない米国ロシア総領事館の電話回線切断

さて、本日の日本のメディアではそろってバイデン大統領の就任に関するニュースを大々的に報道していますが、ナワルヌイ氏が投稿したプーチン大統領の収賄に関する告発動画と23日の反プーチンデモの呼びかけに関する記事も目合っています。

https://www.sankei.com/world/news/210119/wor2101190010-n1.html

https://www.yomiuri.co.jp/world/20210120-OYT1T50201/

https://www.asahi.com/articles/ASP1N3GMDP1NUHBI00H.html

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012000808&g=int

当ブログ筆者も件のナワルヌイ氏の汚職告発動画を見てみました。以下がその動画です。

ど動画そのものは、ドキュメンタリータッチで面白く見ることはできましたが、10年以上建築中で、そのためプーチン大統領が実際にこの施設を使用しているようでもなく、所有権がプーチン大統領やその親族にあるか否かは明確ではありません。よって、大統領側はこの不動産が大統領のものではないことを中心に反論しています。

1月20日19時33分のTASS通史の記事の見出しです。

Песков назвал чушью публикации о “дворце” Путина「ペスコフ(報道官)はプーチンの「宮殿」についての動画をでたらめなものと名付けた。」

https://tass.ru/obschestvo/10504343

この記事で、ペスコフ報道官は「このエピソードは3,4年前のものであり、目新しいものではなくストーリーを変えただけのものであり、この手のものは枚挙にいとまがない。大統領の資産は毎年正確に公開されており、こうした宮殿の資産は存在しない。」と述べています。

一方、TASS通信は昨日の駐米ロシア総領事館の電話回線が火曜日に切断されてから水曜日になっても回復していないことをニュースとして取り上げています。

В генконсульстве РФ в Нью-Йорке сообщили, что телефонная связь еще не восстановлена「ニューヨークのロシア連邦総領事館は、電話通信がまだ復旧していないと報告した。」これはTASS通信の1月21日3時38分の記事です。

https://tass.ru/politika/10509311

ロシアや中国の諜報活動が取りざたされる今、外交関係としては大きな出来事とは思いますが、西側のメディアが無視しているせいか、あるいはバイデン就任と比して話題性が小さいせいか日本のメディアが取り上げることはないようです。

23日に起きるかもしれないデモや、ナワルヌイ氏のその後、およびバイデン大統領のロシア政策などロシア語学習にもってこいの状況変化が予想されるのでブログ筆者も一層のロシアのメディア注視を継続していきます。

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バイデン次期政権の国務長官ブリンケン氏の上院公聴会発言報道、日ロの違い

バイデン次期米大統領から国務長官に指名されたブリンケン氏は19日、上院外交委員会での承認公聴会で政権移管後の外交政策に関して発言しました。日本のメディアでは、中国政策や」北朝鮮政策が中心に報道されました。

一方ロシアでは、ブリンケン氏の考えとして示された政策は20日午後1時現在は対ロシア政策のみ報道されています。

以下、イズベスチア誌の1月20日午前3時の記事の見出しを示します。

Блинкен заявил о планах рассмотреть новые санкции против России

この意味は、「ブリンケンは、ロシアに対する新たな制裁を検討する計画を発表した。」となります。

https://iz.ru/1113775/2021-01-20/blinken-zaiavil-o-planakh-rassmotret-novye-sanktcii-protiv-rossii

記事の中で、ブリンケン次期国務長官の発言を引用し、「CAATSA(「制裁によるアメリカの敵対者への対抗に関する法律」法)、Magnitsky(ロシア当局に対する制裁)など、いくつかのツールでロシアの反応を促す」という新政権の意向を報道しました。

これは各国の報道を横並びにしてみての印象ですが、当事国に関連する記事はより誇張して報道され、時に発信者の意図に反して誇張されすぎたり、あるいは全く方向違いの記事になったりすることはよくあることです。このブログは、ロシアのメディア報道を取り上げて生きたロシア語学習の機会を提供しようと意図していますが、ロシアの報道と、日米欧の報道を比較することで、情報リテラシーの開発にもつながる可能性をも追求したいと考えています。

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米国のロシア総領事館での通信障害に関する報道

1月20日9時21分のTASS通信の報道で、1月19日米国のロシア総領事館の30にも及ぶ電話回線が遮断され外部との通信ができなくなったことが分かりました。インターネットや携帯電話での通信障害も発生したようです。

Посольство России направило властям США ноту из-за отключения связи в генконсульствеという見出しで、

「ロシア総領事館での連絡が途絶えたため、ロシア大使館は米国当局に通知した。」となります。このニュースは今の時点では日本のメディアでは取り上げられていません。

今後、米国のメディアが取り上げる可能性がありますが、それが一連のロシアによるハッキングや諜報活動に結びつけられて報道されるのか、短なる技術的障害なのかを注視していきたいと思います。

https://tass.ru/politika/10500567

CNN.co.jp : 米、ロシアに領事館などの閉鎖通告 制裁巡る対抗措置
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ナワルヌイ拘束、ロシア側の見方

ナワルヌイ拘束に関するロシアの報道を続報としてお知らせします。ナワルヌイ氏がモスクワの空港で帰国と同時に拘束されましたが、この件を受けて欧州及び米国は即時釈放を求めています。こうした動きに応じるようにして、18日のラブロフ外相は2020年総括の記者会見でロシアの公式見解を示しました。1月18日17時20分のTASS通信の記事です。

Лавров: на Западе история с Навальным нужна для отвлечения внимания от кризисов дома

という見出しで、「西側では、自宅(自国)での危機から注意をそらすため、ナワルヌイとの物語が必要です。」となります。

記事には、ラブロフ外相は以下のコメントが掲載されています。

「昨日のナワルヌイのロシア連邦への帰国に関するニュースを見ると、西側から発せられる意見は、コピーであると感じられます。あたかも自国の危機的状態から注意をそらすために行っているようです。」

「ナワルヌイのケースは国際的には外交問題として認識されるようになったが、ロシアはあくまでも国内の詐欺事件を中心とする刑事事件として扱っている。ナワルヌイを拘束したことで、国際的なイメージが失墜したとしても、ロシア政府はイメージを守るために行動はとらず、本件は国内の司法判断にすべてをゆだねる姿勢を維持する。」

と言っています。さらに、毒殺未遂に関しては、従来の主張、つまり、

「ロシア国内便で体調を崩したのち、ロシアの病院で手当てを施された。その際、毒物中毒に関する証拠は出ていない。その後ナワルヌイ婦人の要請に応じてベルリンの病院に移送され、西側の機関によって毒物が検出されたと報道された。ロシア側は西側及びロシア側での共同調査を提案し、また西側の有する資料の要求を行ったが、送付された資料は不十分で、毒物を証明するものはなかった。

とラブロフ外相は述べています。

この様に、ロシア側の立場は、「ナワルヌイ氏はロシア国内における詐欺事件の容疑者であり、氏の機上の様態変化に事件性は確認されていない。もし毒殺未遂を西側が主張するなら証拠を見せるべきだ。」ということを一貫して主張しています。

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ナワリヌイ氏拘束の続報:日本のメディアで早い情報では、ロシアに帰国したナワリヌイ氏が空港で拘束されたことが報道されましたが、ロシアのメディアではさらに詳しい報道がされています。

1月18日、午前10時15分の読売新聞電子版のニュースの見出しとして、「猛毒で襲撃されたナワリヌイ氏、帰国直後に露当局が拘束…「反プーチン」封じ込めへ」というものが出ました。

ロシアでもナワリヌイ氏のロシアへの帰国に関しては詳細に報道されており、逮捕後の欧州の反応や、氏がロシアへの帰国を示唆した時点での報道など興味深く読むことができます。

飛行機の中でアレクセイ・ナヴァルニー

日本時間、1月18日6時47分のTASS通信の記事ですが、それ以前のナワリヌイ氏逮捕の続報として、次の見出しの記事があります。

В Европарламенте и Совете ЕС обсудят задержание Навального

https://tass.ru/mezhdunarodnaya-panorama/10481063

この意味は、「欧州議会と欧州評議会はNavalnyの拘留について会議を有する。」で、ロシア当当局の死の逮捕に対する制裁を議論し始めることがすでに報道されています。その中に1月18日の開催予定の欧州議会の議題として取り上げられることが決定したことが取り上げられています。

一方、ナリワヌイ氏は1月17日のロシアへの帰国はすでに自身が予告しており。またロシア政府もインターファクス通信などメディアを通して、ほぼ確信的に帰国の際は身柄を拘束することを表明していました。例えば、以下の記事です。

ФСИН России заявила о намерении задержать Навального 「ロシアのFSIN(ロシア連邦刑執行庁: Федеральная служба исполнения наказаний、略称 ФСИН)はンナワルヌイを拘留する意向を発表した。」

https://www.interfax.ru/russia/745162

この記事を見てわかるのは、2014年にかけられた詐欺や資金洗浄の疑いで、裁判手続きが進められており、出廷命令に数度背いたため、拘留命令が出されています。

つまり、こうしたロシア内での報道から、帰国すればロシア当局が間違いなく拘束すること、逆に言えば拘束しないとロシアの過半巣の国民が納得しないであろうことは自明でした。こうした状況下、氏が帰国を実行したことは、あくまでも拘束を見込んでのことであり、うがった見方をすればその後の欧州や米国など西側の反応は想定されていたものということがいえましょう。西側もロシア側ももちろんナワルヌイ氏も想定したことだと考えられます。

西側の報道だけではこうしたことはわからないものですが、ロシアのメディアを見ていくとこうした報道に対する視野も深まり、またロシア語学習へのモティベーションも高まりますのでJARUCOではブログテーマとして今後もロシアにおけるメディア報道を日本に先駆けて取り上げていこうと思います。

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Pfizerのコロナワクチンに関する中国の反応と欧州での販売一時停止

日本においてのコロナの中国関連記事は、WHOの武漢入りにおいて2名の調査官が入国拒否されたことが主体ですが、ロシアでは異なったニュースが大きく報じられています。

1月15日午後11時31分、イズベスチアの記事で、見出しは、

В Китае призвали приостановить использование вакцины Pfizer среди пожилых

「中国は高齢者の間でのファイザーのワクチンの使用を一時停止するよう呼び掛けた。」という意味になります。

https://iz.ru/1112288/2021-01-15/v-kitae-prizvali-priostanovit-ispolzovanie-vaktciny-pfizer-sredi-pozhilykh

記事によると、こうした中国政府の動きは、ファイザーのコロナワクチンを投与された23人の高齢ノルウェー人の死亡によって、ワクチンの安全性への疑念が生じたことを理由としています。中国の免疫学者によると、ファイザーなどの企業が製造した新しいmRNAワクチンは開発を急いだため、感染症を予防するために大規模使用の経験がないことが問題だ、としています。

加えて、記事では、ノルウェーおよびフランスでの重篤な副作用のれいから、ファイザー社がヨーロッパにおけるワクチンの供給を来週から削減することに決定した、と述べています。

この内容の情報は1月16日午前11時現在ではまだ日本のメディアは取り上げていません。ロシアや中国での西側のワクチンへの関心の高さがうかがわれる記事でした。

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Twitter社がロシアのコロナワクチンSputnikVの公式アカウントにアクセス制限するもその後解除 イズベスチアは、Twitter社のPfizerを意識しての政治的関与を指摘

1月14日午後9時33分の記事です。

Twitter разблокировал аккаунт вакцины «Спутник V»という見出しで、「TwitterはSputnikVワクチンアカウントのブロックを解除した」という意味です。

https://iz.ru/1111678/2021-01-14/twitter-razblokiroval-akkaunt-vaktciny-sputnik-v

記事によると、木曜日の初めに、ソーシャルネットワークの「SputnikV」のアカウントへのアクセスが制限されていることが判明したとのこと。ロシア直接投資基金(RDIF)は、この措置に気づき、Twitter 加入者に、アカウントへのアクセスを回復するよう、Twitter 社への連絡を促しました。

結果的に現在は「SputnikV」のアカウントにアクセス可能になっているとのことです。

イズベスチア誌は米国のSNSをめぐるこうした検閲の動きに対し、 действия американской стороны имеют политический подтекст, а их целью становится вытеснение источников, предлагающих альтернативное видение мировых событий, так как в них видят «информационных конкурентов»「アメリカ側の行動には政治的な意味合いがあり、その目的は、『情報の競争相手』と見なされている、世界の出来事の異なった視点を提供する情報源を排除することだ。」と評しています。

また事実としてのデータ、具体的には、SputnikVの最終的な有効性が91.4%であり、重症例に対する予防効果は100%に達していること、さらに、1月14日、COVID-19に対するPfizer / BioNTechのワクチン接種後、23人がノルウェーで死亡したことをあげています。

Twitterおよび、Facebookのトランプ大統領のアカウント停止は議論を呼んでいますが、ロシア関連情報の公式アカウントも続々停止措置を受けており、かねてからロシア政府はそのようなSNSの動きには警鐘を鳴らしてきたという事実があります。

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中毒事件の続報です。その後中毒患者は71人に増加、うち61人は子供です。

https://www.interfax.ru/russia/744951

1月13日14時21分、ダゲスタン共和国の中毒事件続報がインターファクスに掲載されました。見出しは、

Жителей Буйнакска призвали не пользоваться водой из водопровода

で、意味は「ブイナクスクの住民は、給水からの水を使用しないように要請された。」となります。

これまで71人の中毒患者が特定されましたが、うち37人は退院しており、すべての患者は軽症から中等症で済んでいるとの報道でした。原因はまだ特定されていませんが、やはり水道水が最も疑われているらしく、水道システムの塩素消毒について延べられています。

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