ロシアのジプシー料理　ロシアファッションブログ152

ロシア映画「ターボルは天国に行く」の1シーン

https://www.youtube.com/watch?v=udkz19ISbZs

ロシアファッションブログです。今、当ブログではロシアのジプシーをシリーズとして取り上げています。ここに、世界で最も有名で最古のジプシー劇場の1つであるモスクワのロマ劇場のアーティストであるNadezhda Ogluのインタビュー記事があります。ロシアのジプシー文化に関する、ジプシー本人による見方に加え、ジプシー料理が紹介されているので、読者の皆様と共有したいと思います。

Nadezhda-Oglu
出典：https://teatr-romen.ru/nadezhda-oglu/#

Nadezhda Ogluによると、そもそも色々探してみても、真のジプシー料理探し当てることは困難だと言います。というのも流浪の民であったジプシーは、言葉や食文化も含めて多くの独自の伝統を到達した文化と融合させ、分け合ったからです。特に食に関しては、食材の地域性という観点から最も行き着いた先の素材や調理法の影響を受けるものであることは想像に難くありません。そうした中、Nadezhda Ogluが自信をもって披露する、真のジプシー料理はとても貴重な情報です。

ロマ劇場
出典：https://teatr-romen.ru/tak-byvaet/

モスクワのロマ劇場の外観
出典：https://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%A0%D0%BE%D0%BC%D1%8D%D0%BD#/media/%D0%A4%D0%B0%D0%B9%D0%BB:Romen_theatre.jpg

ロシアジプシーの家庭料理

Nadezhda Ogluの曽祖父と曽祖母はモスクワに住んでいたそうです。そして、彼女のさらなる祖先がこの街へどこから来たのか、あまり定かではないようですが、クリミア半島を経由したらしいと彼女は考えています。いずれにせよ。彼女の祖先は、ロシアで代々音楽家で、劇場で演奏することで生業を立てていました。

ジプシー自身も含めて、ほとんどの人は真のジプシー料理がどのようなものかを知りません。最もインドから出てきた直後は当時のインド料理そのもの、あるいは近いものであったことでしょう。そういう意味では、ジプシー料理を追求することにあまり意味があるようには思えませんが、ジプシーが流浪の民をはじめ、そしてロシアにわたってきた過程でのジプシー料理がどのようなものであったかを知ることは、存外読者の皆様の興味をそそることかもしれません。

Nadezhda Ogluが最初に思い出すよく食卓に出ていたジプシーの家庭料理は、ロシア料理のチェブレキによく似たヤンティックが主なものです。その料理にはパイ生地が使用されています。このレシピは真のジプシー料理というよりは、クリミアタタール料理に属しているということは確かなようです。

ロシア料理のチェブレキ
出典：https://www.koolinar.ru/recipe/view/103531

クリミアタタールの料理ヤンティック
出典：https://povar.ru/recipes/yantyk_krymskii-77732.html

彼女の家族はよくボルシチやピーマンの詰め物を作りました。これは当然ロシア料理です。ジプシーは国から国へと移動し、根を下ろしたところで、料理を含む地元の文化を吸収しました。たとえば東部では、多くのジプシーはイスラム教徒になり、豚肉を食べるのをやめました。ロシアでは、彼らはウォッカを飲み、ロシア人が食べるものすべてを食べました。

ロシアのジプシー家庭料理に共通点があります。まずロシアのジプシーの料理は非常にシンプルです。ほとんどの場合、鶏肉、子羊肉、豚肉が食材となります。そしてよくローストを作ります。さらにビーツととザワークラウトのスープが大好きです。要するに、ロシアのジプシーはすべてのロシア料理を好んで食べると言うことになってしまいます。

真のロシアジプシー料理と思えるもの

さて、ロシアジプシーのよく食卓に上るものはこれまでに述べたものですが、ロシアジプシーのオリジナル料理という観点でさがすと、独自の伝統的なスープ、ハベラムというものがありました。これはタマネギと、ディル、パセリなどのハーブで味付けした肉汁の料理です。

ロシアジプシーのスープ
ハベラム
出典：https://infourok.ru/prezentaciya-k-klassnomu-chasu-na-temu-den-cigan-klass-279790.html

そして、「暗い」スープ（«темный» суп）があります。これはなすを加えた野菜と肉のスープで、茄子がスープに彩を与えることからこう呼ばれています。加えて、ナスは皿に暗い色を与えます。

また、伝統的なジプシー料理としてトウモロコシ粉から作られたお粥もあります。

ロシアジプシー料理のトウモロコシがゆ
出典：https://jgplso.by/?page_id=2673

ロシアジプシーの一風変わったテーブルマナー

ロシアのジプシーの食卓にはロールパンやベーグルを添えたお茶がなくてはならないものでした。もっと正確に言えば、お茶とペストリーは男性のためにテーブルに置かれました。女性は決して彼らと一緒に座ることができません。これがテーブルマナーです。夫と兄弟が食事をし、話している間、女性たちは常にご馳走を準備しようとしました。。ピクルス、ゼリー状の肉、西洋わさび、ニシンなどの追加料理を用意していました。

ロシアジプシーの男たちの飲み物は、もちろんウォッカで、これは常に男性のジプシーテーブルの中心になければなりません。

すべての給仕を終えた年配の女性は、男性とは別の別のテーブルに座ることができました。そして若い女性たちは男たちに仕え続けました。しかし、男女別々のテーブルに座っているからと言って、日本の田舎の宴席のように男女のコミュニケーションが遮断されていることを意味するものではありません。満腹し、ちょうど酔いが回ってくる頃、年かさの男は立ち上がって何か女性たちに歌うように頼みました：「ハニー、私たちの家を楽しませましょう！」楽しませるのは、ホストではなく、ゲストでもなく、そして家族でもなく、家なのです。そして言葉は続きます。「家の壁が喜びと暖かさを吸収するように。」

ロシアのジプシーのお茶

これはほとんどお茶のブランドとなっています。「ジプシーティー」といえばロシアのお茶通が正確に描写できる独特のお茶です。このお茶は丁寧に淹れたお茶であり（ティーバッグからではありません！）、それにレモン、リンゴ、イチゴ、ラズベリー、などが追加されています。一般のロシア人はジャムとともにお茶を飲みますが、ジプシーは決して素のお茶を飲まず、以下の写真のようにたっぷりのベリーや果実とともにお茶を入れるのです。

ロシアのジプシーレストラン

さて、最後にロシアのジプシー文化を堪能するため、ジプシーの踊りや音楽とともにジプシー料理を提供するレストランを紹介します。10年ほど前、モスクワで最初のジプシー料理レストランであるジプシークラブがモスクワにオープンしました。面白い料理と娯楽プログラムがありましたが、残念ながら、それは閉店してしまいました。モスクワに限って言えば、Nadezhda Ogluが推奨する1件のお店があります。それはスパルタコフスカヤ通りにあるRazgulyayというレストランです。