ロシア民族衣装のお店キリコシナ
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ロシアファッションヒストリー33 ゲルダン3

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ロシアファッションヒストリーのブログです。前回はゲルダンの語源や歴史について紹介しました。今回はゲルダンのモチーフとなっているスラブ伝統の模様について見ていきたいと思います。

ゲルダンの模様の意味

ロシアファッションヒストリーのブログでは、ロシア、スラブの民族衣装や民芸品について紹介してきました。その中で度々、サラファンやルパシカに装飾されている様々なスラブ風の模様を見かけたと思います。ゲルダンについても、そのモチーフとする模様や絵柄は、ロシアの伝統に基づくものが多く、それぞれの様式の意味や成り立ちなど知ることはとても興味深いことです。

ゲルダンなどのスラブ民芸品の伝統的なモチーフには次のように分類することが可能です:

1)幾何学模様:ひし形、長方形、十字架、スパイラル、円等(のちに詳述)

2)植物 :様式化された葉、花、果物、枝など

果物の模様
出典:https://i.pinimg.com/originals/d7/75/20/d775204909e6c213389421a880b5d7b2.jpg

 

3)動物 :様式化された実在の動物、虚像の動物など

動物の模様
出典:https://businka.org/%D0%9C%D0%B0%D0%BA%D0%9C%D0%BE%D0%B8%D1%81/2019/06/03/etno-sova-po-sheme-marii-astafevoy.html

 

4)擬人化 :男性と女性の様式化された人物像、または人体の個々の部分

人型の模様
出典:https://businka.org/%D0%AF%D1%80%D0%BE%D1%81%D0%BB%D0%B0%D0%B2%D0%B0/2017/01/15/kulon-makosh.html

 

伝統的な装飾のモチーフには、特定の情報が含まれています。上記の装飾の種類のうち、最も古いものは幾何学的模様であり、その要素は旧石器時代に広まったと考えられます。スラブに限らず、地球のすべての人々に知られているこれらの普遍的なシンボルをより詳細に見てみましょう。

ひし形

「ひし形」は非常に一般的です。多くのスラブ文化研究者によると、この記号は受精のシンボルを指します。また「点のある菱形」は、多くの場合播種された畑と解釈され、この記号は新石器時代の女性の像によく見られるため、生殖能力、受精、生殖の概念と密接に関連していると思われ、女性の象徴とも見なされてます。民族学の知見によると、このモチーフはしばしば女性の結婚式の服や、結婚最初の年の女性の服に見られるとあります。子供を授かること、家族の継続が結婚の主な目的であったため、これに対する願いが衣装や装飾品に刻まれました。

 

十字架

十字架は神を表す古代の記号であり、腕を水平面(小宇宙)と垂直面(大宇宙)に広げる人を表します。物質、地球または女性の原理(水平)と、天国または男性の原理(垂直)の精神とも理解されています。

автор Наталия Артюхова
Гайта́н ( укр. гердан) — шнурок, плетёная лента], тесьма, на котором обычно носят нательный крест.

 

数字の4の形は十字架と結びついています。世界を4つの基点、要素(水、火、空気、地球)に分割し、四季の年間カレンダーを1周するからです。十字架は地球上の非常に多くの伝統文化に見られる普遍的な象徴です。そのため、それがキリスト教の主要な象徴になったことは必然と言っていいかもしれません。キリストありきの十字架ではなく、十字架が普遍的であったからこそ、キリストは十字架に張り付けられた考えるべきでしょう。

十字架には多くのオプションがあります:エジプト(アンク)、ケルト、スカンジナビア、コプト、セント、ペトラ(反転)など、さまざまなグラフィックタイプの十字架が、伝統的なシンボルとして広く使用されています。

エジプトの十字架
出典:https://zagovormaga.ru/predmetyi/amuletyi/krest-ankh.html

ケルトの十字架
出典:https://web-kapiche.ru/530-keltskiy-krest.html

スカンジナビアの十字架
出典:https://vk.com/@public_ecumene-amulety-i-skandinavskaya-mistika-epohi-vikingov

ペトラ
出典:https://www.liveinternet.ru/users/5673855/post433847638/

 

円の中の十字架、これは生命と宇宙全体のシンボルで、宇宙での太陽の動きを象徴していると考えられます。円の上部の点は正午を表し、下部は真夜中を表します。右と左の点は、日の出と日の入りです。解釈によっては、十字架4つの点を冬至と夏至の日、春分と秋分にそれぞれ関連付けるものもあります。太陽の十字架(円の中の十字架、またはケルトの十字架)は、先史時代のヨーロッパのオブジェクトとして、特に新石器時代と青銅器時代によく見られるものです。

円の十字架
出典:https://otvet.mail.ru/answer/371418119

 

スワスティカ

これは時計回りまたは反対方向に曲がった端(「回転」)を持つ十字です。日本ではまんじです。鍵十字とも言いますね。向きは違いますがドイツナチスのクロイツエルハーケンと同じですね。ロシア語でスワティカと言いますがは最も古く、最も普及しているグラフィックシンボルの1つです。向きは特定されていません。卍のシンボルは、旧旧石器時代に最初に現れています。卍は洋の東西を問わず、多くの伝統文化で使用されました。例えば、武器、日常品、衣服、家紋に応用され、教会のデザインにも使用されました。卍は、紀元前5千年紀にさかのぼるサマラ(現代のイラクの領土)の土器、および南ウラル・アンドロノヴォ文化の陶器の装飾品でも発見されました。左利きと右利きの卍は、モヘンジョダロ(インダス川流域、紀元前3世紀)、古代中国、古代ギリシャの文化にも見られます。さらにヒンドゥー教と仏教の主要なシンボルの1つです。日本では地図の記号にもなっていますしね。インド、チベット、東南アジアの国々でも、どこでも見ることができます。西ヨーロッパでは、卍は古代ケルト人、ドイツ人、スラブ人の武器やその他のオブジェクトを飾っています。ロシアの伝統的な刺繍では、卍模様が最も頻繁に繰り返されるモチーフとなっています。

鍵十字 刺繍

卍は、十字、ひし形の象徴を含んでいるため、ほとんどの古代の人々では、それは生命、太陽、光、幸運、繁栄、幸福、そして創造の象徴とも考えられていました。そして面白いことに、天文学からは、私たちの銀河を含む多くの銀河は、正確に卍に似ていることがわかっています。

ロシア語の音「swastika」という語の語源は、サンスクリット語のルーツであるsu(good、good)とasti(life、existence)に関連付けられています。

残念なことに、西洋世界の20世紀には、鍵十字はナチスドイツの象徴として名声を博し、ヒトラー政権とナチズムのイデオロギーに着実に結びいていました。これについては、「一部の国でこれに基づいて古代のシンボルを禁止することは、ファシズムとの戦いを口実に現在行われているように、すべての人類の何千年もの歴史を消そうとすることを意味することになる。」との批判があります。そういえばわが日本の旭日旗も隣国と問題を起こしますね。

 

蛇行

蛇行は、これも新石器時代にまでさかのぼることのできるよく知られたタイプの柄で、連続した線を形成する直角で構成されたです。ミアンドルと呼ばれ、これはトルコの曲がりくねった川のミアンダー(現在はビッグメンデレスと呼ばれる)にちなんで名付けられました。古代人は深い魔法の意味を見出し、それは人生の浮き沈みも反映しました。

蛇行 (ミアンドル)
出典:https://www.oz-on.ru/popular_blogs/authors_column/the-role-of-the-ornament-in-the-traditional-culture-of/

この蛇行は、装飾として古代ギリシャでしばしば使用され、その後古代ローマ、ビザンチン、さらにはロマネスク建築にも取り入れられています。

蛇行は衣服の裾に飾られることが多いです。建築ではモザイクの床のレリーフで使用され、例えばポンペイのフレスコ画にあります。古代ギリシャでは、蛇行は生殖によって達成された永遠を象徴していました。老化した生物が若い生物に置き換えられ、それによって不滅を表すというイメージです。

 

スパイラル

同心円に関連する非常に古くから普及しているグラフィックシンボルです。単なるらせんと異なり、この絵柄は動的なイメージが重なります。スパイラルは世界の発展、進化(運動と膨張の円)のシンボルと見なすことができます。神秘的なインドの伝統では、コイル状の蛇(クンダリーニの蛇)として描かれていますが、これも生殖に関連する生命エネルギーのシンボルです。ヨガをやっていらっしゃる方はご存じですね。

らせん状の形態は自然界によく見られます。例えば銀河、渦と竜巻、軟体動物の殻、指紋、DNA分子の二重らせんなどですね。古代から、スパイラルのモチーフは最も一般的な装飾パターンの1つでした。ヨーロッパ(ケルトの伝統の二重らせんまたはローマの首都のらせん)から太平洋(ニュージーランドのマオリのらせん彫刻、ポリネシアの島民の入れ墨)まで、それは旧石器時代から使用されており、前王朝のエジプト、クレタ島、ミケーネ、メソポタミア、インド、中国、日本、コロンブス以前のアメリカ、ヨーロッパ、スカンジナビア、イギリス、オセアニアでも見ることができます。

円はおそらく最も重要で最も一般的な幾何学的シンボルであり、その形状は太陽と月のイメージとして古代の人は表したのでしょう。伝統的な象徴で、円は絶対的な、原始的な、無限大としての神の考えを具体化しています。円には始まりも終わりもなく、方向もありません。そして空も丸いドームのように見えるので、円は空をも表します。というように、スラブ文化においても、その他の文化においてももちろん円の象徴性は語りつくせませんが、縦横に編んでいくゲルダンには真円やいくつも円を取り入れることは、技術上難しかったため、なかなか簡単に円をモチーフとしたゲルダンを紹介することはできません。すみません、私たちも円モチーフのゲルダンをもっていませんし、これ以上の画像検索は断念しました。

さてこれでひとまずゲルダンのお話は終わりです。ゲルダン人気はスラブの国々で依然衰えません。装飾性と、胸のあたり、つまり魂や心臓,胃を守るお守りとしての機能がロシアやウクライナの人々を引き付けているようです。興味深い素材なのでまた折を見て取り上げたいと思います。

ロシアファッションヒストリーは続きます。

 

参考文献およびウェブサイト

https://educontest.net/ru/1610012/%D0%B3%D0%B5%D1%80%D0%B4%D0%B0%D0%BD-%D1%83%D0%BA%D1%80%D0%B0%D1%88%D0%B5%D0%BD%D0%B8%D0%B5-%D0%B8%D0%BB%D0%B8-%D0%BE%D0%B1%D0%B5%D1%80%D0%B5%D0%B3-2/
http://aledelbeads.in.ua/gerdan-istoriya-vozniknoveniya/
フホノ フネミ. ツネハメホミネ゚ トナフラナヘハホ. マ
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