ロシアファッションブログです。スラブの儀式8回目です。今回は日本の秋祭りにも似た、スラブの収穫祭について取り上げます。
スラブの収穫祭( Зажинки サジンキと Спожинкиスポジンキ)
太古の昔から、多くの文化圏において、収穫には儀式や祭りが伴っていました。古代スラブにおいてもしかりで、収穫の始まりと終わりはには厳粛な儀式が行われていました。スラブカレンダーには、これらの日を、サジンキとスポジンキと記載されています。
ロシア正教においては、サジンキは通常イリヤの日(7月)の後に始まり、スポジンキは聖母の昇天(8月中旬)に合わせられました。ただし、これらの休日の日付は、穀物の成熟度に応じてシフトする場合があり、流動的だったようです。この儀式は、キリスト教の祝日と儀式に結びついているにもかかわらず、古代にルーツを求めることのできる異教の儀式です。類似した儀式はロシアだけでなくヨーロッパ全体で知られています。最も、収穫時期に合わせた儀式や祭りは農耕民族のどの文化にもあるはずですが。
A.テレシチェンコの著書「ロシアの人々の生活」では、ザジンキは次のように説明されています:
穀物が熟すると、繁栄している地主は近所の人にごちそうを提供します。多くの人が祈りに奉仕し、畑や刈り取りの際、聖水をまきます。主人または司祭が鎌を取り、初穂を収穫します。収穫を開始する権利は、家族の年長の女性、あるいは信心深い女性に付与することもできます。初穂は、花とリボンで飾られ、厳粛に村を運ばれ、特別な場所に置かれました。この束は、「誕生日の男」、「祖先」、「祖父」、「曾祖父」などと呼ばれ、様々な儀式に利用されながら、翌年まで大切に保管されます。
収穫の際、いくつかの穀物の茎は刈り取らず、穂が地面にぶら下がるようにねじ曲げられました。多くの場合、束で同時にねじりました。時には、おまじないとしてパンと塩などがに置かれました。この意味は神への捧げもの、いわゆる犠牲としての行為です。捩じられた茎にはに鎌が触れないようにします。
多くの研究者(D.K. Zelenin、V.Ya。Propp、Jan de Vries、Mircea Eliade)によると、ヨーロッパ全体で知られているこの儀式は、もともとは作物の強度を維持するために行われた行動でした。地面の方へ曲げたり、穂を埋めたりすることは、地球に穀物を残すたことを目的としていますが、実際に花の束は、花輪にすると、長持ちすることがわかっています。
スポジンキ:
刈り取りが完了すると、鎌など刈り取り機を地面に広げ、作業中失った力を土から呼び寄せようとしました。収穫後、畑の浄化のため、農民は藁や熱い石炭を燃やしその上を裸足で歩いたという話が残っている地域もあります。
初穂について
スラブ文化研究科のミロリュボヴァによると:
初穂は結婚式に欠かせない飾りでした。斜めに広い色のリボンで飾り立てられ、祀られます。新郎新婦の父母は、この初穂の束に祈りを捧げ、新婚婦婦の繁栄と、子宝を願いました。
と記しています。さらにミロリュボフによると、初穂自体に神のイメージがあり、かつまた同時に神への贈り物でした。実際、多くの伝統文化では、最初の果物、最初の作物、最初の調理済み製品は、犠牲として神にささげるものと記しています。日本語や、「犠牲」というとネガティブな印象を添えてしまいますが、この場合「神が与えてくれる幸福や、収穫や、富に対する、相応のお礼」の意味ですから、人にとって最も大切なもの、つまり、飢えているときの最初の食べ物、ノドが乾いているときの最初の一口の水、あるいはもっと言えば、村で最も美しい女性の処女が犠牲にふさわしい訳です。
キリスト教の時代には、新しい収穫の最初の果物が教会に奉献されました。
ロシアでは、花と香りのよいハーブで飾った果物と蜂蜜のかごを教会に運びます。またミツバチが繁殖している養蜂家から、教会に最初の巣箱を奉納するのが慣習でした。
先述のA.テレシチェンコによると、農家の作ったパンは神聖なものだったそうです。パンと塩は、豊穣、富、幸福の象徴として捉えられており、家族や社会のお祝いに必要なアイテムとして機能し、これらが魔術や悪霊から守ってくれると信じられていました。
パンに関する言い伝えを紹介します。もし、パンをぼろぼろ床に落としながら食べるものがいれば、パンの精霊がそれを集めます。もし、その落としたパンのかけらの重さが落とした人の体重より重くなった時、その人にはパンの精霊により悪魔が差し向けられます。逆に、パンを軽視せず、古くなってもカビが生えても、それらを処理して大切にパンを食べるものは、雷にもまけず、水に溺れず、老いも貧困も経験することはないのです。「さらに神聖なのは新物の小麦でつくったパンです。ごちそうの間にそうしたパンを食べることは儀式的な行動でした。彼らは新もの小麦パンをテーブルの真ん中に置き、ゆっくりとカットして、ごちそうの参加者全員にかけらをおごそかに配りました。
いかがでしたでしょうか。ロシアを代表とするスラブの国々の文化を知ると、とても身近な人々だと感じられたのではないでしょうか。
次回もスラブの儀式シリーズは続きます。
参考としたURL:
http://velesovkrug.ru/obnovleniya-na-sayte/slavyanskie-yazyicheskie-obryadyi.html
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