ロシアファッションブログです。前回より、ウクライナ特集として伝統的なウクライナ刺繍の霊性を取り上げています。
ファッション界におけるウクライナの伝統装飾
ウクライナのファッション界において、いつの時代でも一定の人気のあるものはウクライナの民族テーマの刺繍です。衣服や刺繍製品のカットはそれぞれの時代風に変更されていますが、何世紀にもわたって保存されていた絵柄の象徴は、過去から連綿と生き続け、現在へ過去の知識、知恵、魂を伝えています。
すでにスラブの霊性と題して、ウクライナを含む伝統柄が、古代からの言い伝えや深い霊性を携えていることは紹介してきました。ここではある程度繰り返しになってしまいますが、よりウクライナ的と考えられる刺繍がらやファッションを取り上げていきます。
2015年、有名な女性ファッション雑誌ヴォーグが、ウクライナのファッションをその年のトレンドに位置づけました。その後2017年にもヴォーグ氏のニューヨーク版で
”Ukraine’s Influence on the Runway Is Bigger Than You Think”
という記事を出すなど、ウクライナの伝統が世界のファッション界で果たしている役割について評価しています。
また世界をリードするファッションブランドのバレンチノのファッションショーでは、ウクライナ刺繍のリーダー的地位が今日も保存されています。
他にも世界的なデザイナー、ジャン・ポール・ゴルチエ、ディオール、グッチ、アスカルドなどによるウクライナをモチーフとした現代のコレクションは枚挙に暇がないほどです。
勿論、まだまだ世界的には有名ではなくても、ウクライナで活躍するウクライナ人デザイナーが自らの文化をモチーフとして、世界のファッション界に臨もうとしている例も多くあります。次に何人かのウクライナ人デザイナーとその作品を紹介いたします。
クリスティーナ・ラチツカヤ(Khrystyna Rachytska)
クリスティーナ・ラチツカヤは、2012年に最初のコレクションを作成しました。2015年11月、自分のブランドを立ち上げ、ウクライナの民族衣装をベースにしながらモダンなモデルを生産しています。ラチツカヤは、ウクライナの本物の刺繍と衣装を探求しています。多くの場合、製品には19世紀の初めによく見られたモチーフの刺繍が使用されています。素材は、リネンなどの天然布地、革、羽毛、木など天然の素材のみを使用しているのが特徴です。
ユリア・マグディッチ(Юлии Магдыч)
ウクライナ、リヴィウ生まれのユリア・マグディッチは幼いころから刺繍に魅了された女性です。彼女の家族では、祖母と母親が伝統的な裁縫に従事し、休日は刺繍を施されたコスチュームで過ごすことが習慣でした。その後、母親はジュリアにさまざまな刺繍技法を教えると同時に、刺繍の有するエネルギー、その象徴性、お守りの機能について娘に伝えてきました。
なので彼女のコレクションにはさまざまなウクライナのシンボルが提示されます。そしてコスチューム全体のコンセプトは、母親から娘まで、世代を超えて受け継がれるデザインの提供です。
リュボフ・チェルニコワ(Любовь Черникова)
チェルニコワは2009年に彼女の最初のコレクションを発表しましたが、実際にブランドを立ち上げたのは翌年の2010年です。
彼女のコレクションでは、やはりウクライナの衣装と刺繍の関連付けが特徴で、バリエーションは豊富です。すべての衣服は天然繊維のみから縫製されています。生産には20世紀の1920-1940年代にウクライナの村々で織られていた麻織物が主に使われ、古い織り機を使って縫製しています。
また、彼女のコレクションでは、ロシアのホフロマに似たウクライナのペトリコフ絵画をモチーフとした装飾を多く使用しています。
チェルニコワの作品
出典:https://bzh.life/ua/mesta-i-veshi/mesta-i-veshi-vyshyvanky
さてウクライナの伝統をテーマにしたデザイナーたちの作品を見てきましたが、ウクライナ人デザイナーはこれら3人のみを紹介したのではちょっと少なすぎますので、次回も何人かのウクライナ人デザイナーの作品を集めてお見せしたいと思います。お楽しみに。
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