今日のロシア語:台風11号

ロシアのメディアが最も関心を持って伝えている日本からのニュースのテーマは何でしょうか。実は必ずしも政治や経済ではなく、正解は気候や自然災害に関連するものです。日本は頻繁に地震、津波、台風や猛暑などさまざまな激しい自然に翻弄されているイメージがあります。

今日は7月17日、日本に上陸した台風について、ロシアの新聞記事を切り抜いて、解説して見ましょう。

Девять японских авиакомпаний  объявили об отмене 214 рейсов из-за тайфуна “Нанка”, который приблизился к Японии со стороны Тихого океана.  ТОКИО, 16 июля — РИА Новости

この文章の主語は Девять японских авиакомпаний です。数詞の「9」と「日本」、そして英語から来た言葉air company – 「航空会社」が順に書かれています。ロシア語では五から二十までの個数詞と接続している名詞と形容詞は生格の複数の語尾を持ちます。つまり女性名詞 авиакомпания の語尾はийに変わります。述語の動詞は過去形になっていて、объявили は「アナンスしました」と言う意味です。отмене は「中止」です。214 рейсов男性名詞рейсにовの語尾がついて、「214便の」を意味します。もう最初の部分を翻訳できました。「9社の日本の航空会社は214便の欠航をアナンスしました」ですね。

接続詞из-заは原因を表すので、из-за тайфуна “Нанка”は「台風ナンカーのために」という意味になります。男性名詞тайфунを生格として語尾аがついたものです。 関係代名詞который以下は連体修飾節を作っており、「するところの人や物」を意味します。「太平洋側から日本へ近付いた」を意味します。

日本では名前のついた台風でも、号数で呼ぶのが一般的ですが、ロシアでは名称が優先されるんですね。ハリケーンが命名されるように、2000年より台風も、各国の政府間組織である台風委員会(日本を含む14カ国等が加盟)が命名しています。

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今日のロシア語:長文

どの言語でもそうですが、ロシア語でもニュースの記事や小説で長文に出くわすことがよくあります。まだロシア語が習いたてで、難解な長文を見ると、勉強意欲がそがれてしまいますね。そんな時の対処法は、大学受験英語の対策とまったく同じで、keywardを見つけて文の基本構造を理解し、主語、述語を見極めていく。重文、複文であれば、構成要素の文も同じように主語述語を見極める、と言う感じにです。РИА Новости7月14日掲載の「秋田県と沿海地方の経済フォーラム開幕」の記事からこの表現をごらんください。

Планируется, что российская сторона в ходе форума представит инвестиционный и торгово-экономический потенциал Приморья, перспективные направления инвестиционного сотрудничества, а с японской стороны прозвучат доклады на тему туризма и экономики префектуры Акита, современного состояния промышленности и развития внешнеэкономической деятельности региона.

РИА Новости http://ria.ru/economy/20150713/1126321300.html#ixzz3fqqHs6vz

まずはこの文の主語、述語関係を見つけてみましょう。

最初の単語Планируетсяを見ると、Планは計画の意味で、планировать は「計画する」の動詞です。最後のсяは再帰動詞化する接尾辞的なもので、他動詞を自動詞に、或いは能動態を受動態に変化させる機能を持ちます。この場合主語のない、いわゆる不定人称文になり、「計画されている」を意味します。Говорится, думается などの動詞も同様に「言われている」「思われている」を表します。このсяのついた動詞をそのままся動詞と言いますが、すべての動詞にсяをつけられるわけでも、また全てのся動詞に対応する基本動詞があるわけでもなく(つまりся動詞しかない、例えばсмеяться「笑う」等)注意が必要です。

次に、何が計画されているか、これは接続詞чтоの後に述べてあります。Российская сторона представитは「ロシア側は紹介する」という構造の主語、述語関係です。知り合いの方を紹介する時Разрешите представить, это господин Танака「」と同様の表現が使えます。

三つめの文はпрозвучат докладыで始まり、「報告がされるでしょう」と述べています。未来形として訳したのは、動詞звучатьに接頭辞проがついて完了体となっているので、現在ではなく未来形と分かるわけです。

そして全体の意味は 「ロシア側は沿海地方の投資と経済・貿易の潜在性や、投資協力の有望な分野などを紹介し、日本側は秋田県の観光と経済、産業の現状と対外経済活動の発展をテーマとした報告を行うことが計画されている」となります。

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学習動機

ロシア語に限らず、語学学習の動機は、ガーナーとランバートが唱えた道具的動機統合的動機に分類できると考えられています。前者はロシア語を学習、あるいは習得することが社会や会社での地位獲得、収入確保に直接つながり、そのために学習するというもので、後者はロシア語そのものが好きであったり、ロシア文化に一体化することがロシア語を学習する動機になっているという分類です。さて私どもの生徒様の内、法人契約での生徒様は道具的動機を、個人契約の生徒様は統合的動機をお持ちになっている方が多いようです。もちろん私どものロシア語教育方針は、すでに統合的動機をお持ちの方はますます強く、道具的動機をお持ちの方は、統合的動機道具的動機のいずれも持っていただく方向で、ロシア語権文化やロシア語学習の楽しさを共有していきたいと思います。

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今日のロシア語:キリル文字

7月8,9日の2日間、ロシアにBRICSの5カ国首脳が招かれ会議が開催されました。テーマはロシアへの西側諸国からの輸入禁止措置等で、ギリシャ支援は議題とはなりませんでした。
BRICSをロシア語で表現するとБРИКС。それぞれの国はロシア語ではБразилия (ブラジル)、Россия (ロシア)、Индия(インド)、 Китай(中国)、 Южная Африка (南アフリカ)と表記します。さてこの造語は当初BRICsで、最後の小文字sは複数名詞の接尾辞に過ぎませんでした。つまり南アフリカは当初数えられていなかったのですね。ロシア語は英語とは異なる接尾辞のルールを有しておりますが、ロシア語には略語に複数の接尾語をつけるルールや習慣はありません。よってBRICsはキリル文字でБРИК でした。日本人にとって馴染みの深い英語アルファベットと比較すると、キリルとの対応文字の違いがくっきりと出ていて面白いですね。
さてロシア語を初めて勉強する方にとって、キリル文字へのハードルはどれだけ高いのでしょうか。
私どもは生徒様に対して、「ご心配なく」と言っています。外国の方が日本語の漢字を習得するのとは比較にならないくらい簡単です。キリル文字の「習得」というよりは「馴化」と表現した方がいいかも知れません。ロシア語テキストを声を出して1日15分間読んでみましょう。1ヶ月後にはキリル文字への恐怖は無くなっている筈です。何しろキリル文字は全部で33字、日本の漢字は、常用漢字だけでも2136字もある訳ですから。

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