日露バイリンガルの育成:セーフティーネットとして

私たちJarucoがここに取り立てて宣言する必要もありませんが、世の中が極めて速い速度で変化していることを実感します。身近な例としては、30年前の雇用のルール、例えば終身雇用や年功序列はもはや無くなり、大企業でも頻繁にリストラをしますし、官公庁さえ例外ではありません。 「寄らば大樹の陰」は通用しなくなってきました。

最近、『UXの時代――IoTとシェアリングは産業をどう変えるのか』(松島聡・著 / 英治出版・刊)と言う本を読みましたが、そこで言われているのは「産業や社会の構造的な変化が始まっている、それは産業主導からユーザー主権への変化である。」ということです。

 

「これまで経済をリードしてきたのは、19世紀から20世紀にかけて欧米で生まれた「垂直統合型」の大企業だった。このビジネスモデルは原料調達から開発、製造、輸送など事業に必要なあらゆる活動と必要なリソースを囲い込むことで、効率的に製品を量産し、市場に供給することを可能にした。その効率によってユーザーはよりよい製品をより安く買うことができた。」

「しかし今、こうした大企業から一方的に提供される製品を買って所有することに、ユーザーは以前ほど魅力を感じなくなってきている。既存の産業の成長率は鈍化、あるいは下降し、かわりに急成長しているのは、UberやAirbnbのように、ユーザーがお互いにモノを融通し合い、使いたいときだけ使うといった行動を支援するシェアリング・サービスである。」と述べ、企業のあり方、製品やサービスのあり方の変化を詳説しています。

 

さらに電気自動車メーカーのテスラのCEO、イーロン・マスク氏はもっと極端な予測を立てています。「人工知能が発達すると、人間がやる仕事が激減し、いわゆる職を持たない人々が増える。」よって「普遍的なベーシック・インカム(就労や資産の有無にかかわらず、すべての個人に対して生活に最低限必要な所得を無条件に給付する)が近い将来必要になるだろう」、とまで述べています。http://www.huffingtonpost.jp/2017/02/14/elon-musk_n_14737472.html

言ってしまえば、価値のあったもの、つまり労働や組織、土地や有価証券、強いて言えばお金の価値さえ10年後、20年後には疑ってかからねばならない状況が示唆されています。

こうした変化は過去20年に比較し、将来の20年の方がより加速し、かつ今まで以上に国境をまたいで影響しあうものと予想すべきでしょう。けれども、やはり「国」と言う概念があるい以上、そしてその国々が異なった文化を持つ以上、変化の変遷にも温度差があると思います。私たちは、「日露、あるいはそれ以外の多文化を共有する夫婦や家族、あるいはもっと広義な集団は、異なった文化を有すると言うその点で、社会的アドバンテージを有している」と考えます。通常そうした集団は異なった文化から発信される情報を常に得ているため、「情報リテラシーが発達する」と考えられます。よって国際結婚家庭の子供たちにバイリンガル教育を施せば、2つの社会、あるいは国に適合するための大きな条件(言語や異文化理解の能力)を兼ね備えさせることができ、かつそれぞれの社会を多角的に把握することができます。端的に言うと、2つの国での高等教育を受ける可能性、2つの生活圏を選択できる可能性が備わっており、それぞれの長所・短所がわかるということです。

Jarucoの日露バイリンガルのお子さんに向けてのロシア語教育は、将来ロシアでの高等教育を受けることのできるレベル、科学技術の研究や開発、そして政治や経済を牽引していくことのできるレベルのロシア語習得を目標としています。つまり、お子さんのロシア語のCALP(学習言語能力)の開発に焦点を当てています。具体的には、Jarucoのバイリンガルのためのロシア語教室におけるクラスでは、ロシア語を言語として教育するのみではなく、いわゆるイマージョン方式を取り入れています。このイマージョン方式とは、1960年カナダのケベック州で始まったバイリンガル育成プログラムです。英語とフランス語の両方が使われるこの地方で、第2言語と位置づけられるフランス語の能力アップ、言い換えれば英語フランス語のバイリンガル児童のフランス語能力の焦点をBICS(生活言語能力)からCALP(学習言語能力)に変更すると言う政策が採られました。具体的には、小中高の学校教育で算数、理科、社会などの教科をフランス語と英語の両言語を使って教えると言う方法をとります。カナダでは、「英語+仏語のバイリンガルでないと大統領にはなれない」と言われているほど、バイリンガルであることの社会的な要請が大きく、社会的に両言語獲得の動機が高いこともあって、このイマージョン方は成功していると考えられています。Jarucoでも、この方法を取り入れ、ロシア語を言語として教えるのみではなく、レベルに合わせた算数、理科、社会の補修をすることによって、あるいはロシア語教材にこれら学科を取り入れることによってお子様のロシア語のCALPの醸成に努めています。

日露カップルの皆様、お子様の教育に関し、悩み事があればなんなりとご相談ください。

office@jaruco.jp

 

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