2月9日、中国、黒龍江省、ハルピンの旅に続いてのお話です。
ハルピンに次いで、牡丹工、綏芬河と旅をしました。
私たちの中国、黒龍江省の旅は2017年の春節に当たっていたために、中国の地方の春節を経験できたものの、折角ロシアとの国境に近い街まで行ったのに、ロシアレストランは閉まっていたり、ロシア製品を売る店も閉まっていたりで、中国とロシアの経済交流を肌で実感するには生憎のタイミングでした。
私たちが綏分河のロシア語事情を知ろうと思ったのは、2年ほど前NHKのドキュメンタリーで、発展著しいロシア極東の農業に中国から多くの農民が出稼ぎに行く中継地点として、この中露国境の街が取り上げられたからです。人口20 万人ほどの中国としては小さい街ですが、経済の特徴としては、綏分河市の75%の収入をロシアとの貿易によるものという中国側の統計数字があげられます。この街が大きくなり始めたのも、ロシア側から担ぎ屋、所謂行商人的な人々がロシアの農産物や製品を売りに来て、中国製品を買って帰るという人々が多かったことによります。中露の経済発展に伴い、綏分河は著しい速度で大きくなりました。こうした背景から、市をあげてロシアとの交易に力を入れています。商店やレストランの看板が中国語に加えロシア語併記なのは無論ですが、交通標識などの公的なものもロシア語表記がされており、ロシア人商人や旅行者の便宜を図ろうとしています。
さて我々ロシア語関係者にとっては、この様にロシアとの関係の深い中国の一地域において、ロシア語の普及の程度や教育がどうなっているか興味のあるところです。旅行前に綏分河におけるロシア語語学学校を検索しましたが、全くヒットしませんでした。また、人影もまばらで閑散とした街、けれども時折激しく爆竹の鳴り響く街を隈なく探しましたが、語学学校らしき看板を目にすることはありませんでした。
しかし、街を歩くにつれ、その中国らしくおびただしくもけばけばしい数々の看板を見て考えさせられることがありました。まずはロシア語表記、あるいは併記された看板類の画像をご覧ください。
間違いにお気づきになったでしょうか?
確かにロシア語表記は街中にたくさんあるのですが、頻度から言っても非常に間違いが多いのに気づきました。加えて、タクシーの運転手や。レストランのウエイター、ホテルの受付等、多くの人がロシア語を話すのですが、ほぼ片言で、あちらの言いたいことはわかるものの、質問をしてあまり理解されず、まともに返事は返ってきませんでした。つまり、ロシア語教育という観点からは論じるレベルにはない、と言わざるを得ないのです。多分これでは、ロシア人客の細かい要望に答えられず、十分なおもてなしができないと思われます。日本に同様の場所がないので比較できないのですが、日本ならもっと几帳面にロシア語を扱うでしょうし、それなりのホテルにはロシア人をおくか、あるいはロシア語にごく堪能な従業員をおく事でしょう。中国や中国の方々を非難するつもりは全くありませんが、ロシア人や日本人の言葉に対する真摯さを再確認したしだいです。尤も、ここ綏芬河での主要ビジネスの成り立ちが食料や衣類、その他お土産類の売買を起源としていますので、商談と言っても簡単なやりやり取りで事足りていた、と言うことも含め、割り引いて考えなければなりませんが。
次回は、上記画像の中の間違いについて解説します。