皆さん、こんにちは。先月、2016年1月Jarucoロシア語教室の教師として、京都市立幼稚園と小学校で日本とロシアの文化違いについて講義を依頼され、それぞれ1日ずつ行いました。聞き手は日本人の保護者と子供達でした。
まずは幼稚園で、家庭教育講座で日本の父兄向けに以下の点にふれました。
- 働く女性に向けて。日本では通常、子育て中の女性が主に家事の係りになっていて、子育て後フルタイムの職場に戻るのは簡単ではありません。ロシアの様に、お祖母ちゃんの子育て支援を受けることができたら、キャリアのあるお母さんが好きな仕事に打ち込めます。これがロシアの家族モデルのよいところです。
- 勝ちと負けの重要さ。ロシア人は、学校の運動会においてもはっきりそれぞれの科目で誰が優勝したかを示し、それを称えないと、頑張るモチベイションが落ちてくると考えます。ロシアのスポーツ競技では、日本とことなりそれが子供のものであっても、成功体験を与えるのではなく、競争意識を育むことを目的としています。演劇や音楽など、芸術分野でも同様のやり方が踏襲されます。才能がある人を選択して英才教育をするという方法は、日本の聞き手には共感を得られませんでしたが、ここには日本での平等意識、目立たないことへの美徳があるからでしょう。
- 物の共有。皆さんは「家が狭い」と感じたことがありますか。それは物がありすぎのせいですね。ロシアでも同じ傾向があります。捨てるのはもったいないと思ったら、その物を使えそうな方に差し上げる。使ったおもちゃを他の子供と共有するとそこで交流が生まれます。この点は日本とロシアの社会が似ているところです。
- 洋服と食べ物 日本のお母さんからの悩みとして、子供が「野菜が嫌い」、「お菓子ばっかり食べる」などが多く出ました。これに対し、こうお答えしました。ロシアでは子供のために別のベビーフードを用意するということは一般的ではなく、お母さんと一緒に同じ物を食べさせます。そうすれば、子供が家庭料理にしっかり慣れてきます。 食事の時間前におなかがいて。騒ぎだすとすぐにおやつやミルクをあたる。ロシアではこういう時期を早く脱することを目指します。親と同じものをなるべく早く食べてもらうために。日本とロシアの経済的な豊かさの相違からくる違いかもしれませんが、子供に負担を強いても、きちんと子供は育つし、もしかしたら食に関してはロシア人のほうが持続可能な民族になるかも。
- ロシアのベビーカー。ロシアの文化は和洋折衷なところがあり、家では靴を脱ぐところとか、日本と似ている暮らし向きがあります。決定的に違う点として、ロシアのベビーカーはワンタッチでそりに変身するところです。建物の中では車輪のついた、ベビーカー積もった雪の中の移動にはそりが便利ですから。
また別の日、次は小学生二年生向けにロシアのクリスマス(Рождество)、お正月、そして洗礼祭 (Крещение)のお祝いについてお話しました。その後に日本の小学校で今まで誰も教えなかったロシア語のアルファベットと文字合わせを紹介しました。スピーチの主な内容を以下にまとめます。
102年前まで、ロシアは旧暦カレンダーを使い、お正月は現在暦で言うと1月14日でした。今は新年のお祝いを1月1日にしますが、まだСтарый Новый год「古い新年」を祝う人も多くいます。
正式には国のカレンダーを他の国々と合わせられましたが、ロシア正教においては旧暦が尊重されます。よってイエス・キリストの誕生日は1月7日(ユリウス暦12月25日)にお祝いしています。しかしロシアではクリスマス会にサンタ・クロースさんは来ません。それよりも大事なのは40日間肉を食べずにお祈りすることです。この一ヶ月以上のダイエットの後のクリスマス・イブには、それぞれの家族はその年最も美味しい料理を作ります。
サンタ・クロースの変わりに、ロシアではДед Мороз(冷凍爺や)とСнегурочка (雪女)が忘年会に来るのです。冷凍爺やは寒さの精として怠け者の子供を杖で凍らせてしまう力があります。逆によく頑張った子供だけにプレゼントをくばります。冷凍爺やのそりを運ぶのはトナカイではなく馬三頭、ロシア語でтройка (トロイカ)と言います。
京都の子供達は面白そうに話を聞いていたので、少しはロシア語とロシア文化に興味を持ったようです。異なる文化を説明しましたが、そうした相違にも理由があって、人々の習慣が周りの環境に適合して形成されていくことが理解されたことと思います。そうした理解が、カルチャ・ショックを和らげてくれますし、宗教や人種間の争いが無くなって行く方向に向かっていくことを期待しています。