今月は在日ロシア語話者向けに様々なイベントが行なわれました。ジャルコの教師が主な二つの活動に参加しましたのでご報告します。
日露子供バイリンガルのシンポジウム
日本文部科学省の2014年の調査によると小学校から高等学校まで公立学校に在籍する児童生徒数の中で、日本語指導を必要とする数は27,013人もいるとのことです。その中のほとんどは、当然ですが日本生まれの外国人カップルの子供と、日本人と外国人の子つまりハーフの子供です。
10月18日に東京外国語大学にロシア語の教師と保護者が集まりました。このシンポジウムで、主にバイリンガルの子育てについての議論が交わされました。このシンポで特に興味深かったのは、アムステルダム大学の講師ポドガエフスカヤさんの講義でした。ポドガエフスカヤ先生によるとバイリンガルの児童は特別な学習者グループであって、ロシア国外で育った彼らの実際の言語能力、知識や経験を考慮した特別の教材や教授法の開発が必要になるとのことです。ただ在日ロシア連邦大使館の学校の校長先生および先生方も、その事実を理解して入るのですが、制度上、日本に住む小中高校生たちに対しても、本国でロシア政府が承認したプログラムを基準に教育がなされています。
日本人のお父さんとチェコ人のお母さんをもつ青少が興味深い意見を発表しました。母親が母語を強く教えたがると、子供がそれに反発して逆に嫌がる可能性が高まるそうです。しかし成長して自ら語学に興味がでてくると、逆にロシア語やチェコ語のような特殊な言語が話せることで、仲間内から一目を置かれることも多々あるそうです。また、バイリンガルの脳が普通の人より特長があって、言葉が覚えやすい脳であることが認められています。
日露バイリンガル教育の領域で、教師および親御さんが認識すべき重要な問題があります。日本の生活に慣れた子供たちにロシア語言語知識とロシア文化の継承を効果よく行うためには、バイリンガルに合わせた特別な方法を使用することです。
Jarucoではこれらシンポジウムやロシア語教育にかかる学会活動を通して、バイリンガルに対する独自のロシア語教育方法を開発し、授業に展開しています。
http://deti-bilingual.com/
神戸ロシアフェスティバル
皆さんロシアの音楽を常に触れ合っているでしょうか。もちろんネットで探せば沢山ロシアの歌、楽器、種々のコンサートを見つける事が出来ますが、実際にロシア文化と直には接触できませんね。今月はロシアまで行くことなく、ジャルコの教師がロシア語話者コミュニティの一つのイベントを楽しんできました。
これまで散発的には行われましたが、定期開催としては初めて在大阪ロシア連邦総領事館の協力で関西地方でのロシアフェスティバルが行われました。150年前に神戸港へ最初のロシア王国の船が接岸して以来、当時ロマノフ王朝の代表が何人も神戸市を訪れました。そのころから神戸において日露交流が現在まで続いていて、移民たちも少しずつ来るようになりました。さらに1917年のソビエト革命の時には、社会主義による富裕層への弾圧を逃れてロシア難民が大勢神戸にやってきたとのことです。現在ではロシア移民が立ち上げた洋菓子ブランドMorozoff, Goncharoffや Baranoff等が日本で人気を博しています。
フェスティバルでは無料コンサートが開かれ、多くの歌手や踊り子たちが芸を疲労しました。特にエカテリーナさんの歌う、日本語やロシア語のオペラが日露の観客を驚かせました。ロシアの珍しい楽器ドムラも演奏されました。
休憩の間に観客はロシア料理のお弁当を食べたり、マトリョシカの白木に思い思いの絵を描いたり、ロシアの名産品のお土産を品定めしたり。お金は使わなくとも、美しいロシアの民族衣装をまとった売り娘さんの間を歩くだけでも、ロシアを堪能できたことと思います。
詳しくはこのページをごらんください。来年はこのHPを訪れてくれている方々とロシア・フェスティバルでお会いできることを楽しみにしています。
http://www.russian-festival-kobe.com/