ロシアファッションブログです。スラブの儀式をシリーズとしてお届けしています。今回はスラブの儀式10回目として、少しユーモラスな儀式を紹介いたします。
ハエとゴキブリの埋葬の儀式
スラブの伝統文化において、ハエとゴキブリの埋葬の儀式というものがあります。これはハエとゴキブリの埋葬であり、かつまたこれらをを追い出す儀式です。この儀式は、19世紀にスラブ研究者の注目を集めました。作家で民族学者のS.V. Maximovは、ロシア北部(ボログダ州の東部地域)でのハエの埋葬の習慣について発表しました。この習慣は потешным「ユーモラス」とも呼ばれています。
ハエの埋葬の儀式の進行:
Maximovによって記録された民族誌はに次のように著されています。
少女たちは葬儀の準備のため、きゅうり、カブやニンジンから小さな棺を切りとりました。捕獲されたハエの一握りがこれらの棺桶に収められ、それらは閉じられ、ある少女はおふざけ気味に、
ある少女は嘆きにくれながら、ハエを埋めるために小屋から運び出します。
同時に、誰か他のものが飛ぶハエを女性の下着やタオルで小屋から追い出しつつ、「飛んでいけ、飛んでいけ、でないと埋葬してしまう」または「ハエさん、蚊の友達さん、もう死ぬ時だよ」と叫びます。
Maximovは、儀式の詳細はどこでも同じであると述べていますが、同時に「婦人ものの下着やタオルの代わりに、ズボン(男物)でハエを駆逐することも勧められています。このやり方が計り知れないほど効果的であることを確信している人々もいます。そうした人々は、男物ズボンから蹴り出されたハエは、永遠に小屋に戻る欲求を失うと考えているからです。」とも書いています。さてこれは、これから説明するハエの儀式と若い女性の求婚活動と、微妙に関連した逸話だと考えられます。
ハエの儀式の意味:
儀式の意味は、農民の小屋からの昆虫の追放だけではありません。少女たちが儀式の観客、特に花嫁を探している男たちに自分の美徳を見せようとする機会にも使われました。
1880年、ロシアの民間伝承の研究家、資料収集家であるザビリンは、調査によってこの儀式を次のように説明しました。
セメノフの日、9月1日は、ハエ、ゴキブリ、その他の昆虫の存在が終了する日と見なされます。
このとき、セルプホフやトゥーラなどのいくつかの場所では、この日にハエを埋めることが習慣でした。このために、若い女性は大根で棺桶を作り、ハエを埋めました。トゥーラでは、木のチップにゴキブリを埋め、やはりこの地域の少女たちはできるだけ身なりを整えました。これは、若者が花婿・花嫁を探す絶好の機会と考えられます。
その後、この儀式は次第に子供のものとなっていきます。
この儀式はしばしば歌を伴っていました、次のような歌があります:
「ゴキブリは木を切り刻んだ、
蚊は水のボトルを身に着けていた
、泥の中立ち往生している。
シラミを蒸して、はい、つぶそう。
うっかり、肋骨を折っちゃった。
それでも飛ぼうとして、胃が裂けちゃった。」
(トヴェリ地域)
A.F. Nekrylovaは、すでに19世紀の終わりに、これらの虫の葬式に関連した曲は、ほとんどの場合、子供たちの童謡または寓話として認識され、演奏され始め、儀式自体が楽しい遊びに変わったと書いています。
いかがでしたでしょうか。これまで、現在復活しつつあるものの、スラブの地方地方で地元の人のみで小規模にひそかに行われている儀式について紹介しました。
次回は、スラブの儀式として広く認められ、ロシア人ならだれでも知っているお祭りにについて紹介していきます。
お楽しみに。
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