ロシアのジプシーの呼び名、語源　ロシアファッションブログ150 -

ロシアのジプシーの呼び名、語源　ロシアファッションブログ150

ロシアファッションブログです。今ロシアのジプシーを特集しており、前回はロシアのジプシーに関する6つの神話についてお話ししました。

ジプシーの呼び名、語源

ロシアにおいては他の地域と同様、「ジプシー」という言葉が民族や文化の名称として根付いていますが、最近ではロシアでも「ロマ」という用語もますます頻繁に使用されています。

ヨーロッパでは、「ジプシー」という言葉の使用は、差別語にあたり望ましくないと考えられています。というのもある施設への入場、入店が断られることも多く、多くの国で差別が問題になっているからです。

ジプシーお断りの表示
出典：https://www.huckmag.com/perspectives/opinion-perspectives/racism-against-gypsies-does-anyone-actually-care/

19世紀、ロシア、ヴォロネジ州の民族誌学者は次の事実を記録しました。ロシア農民がジプシーを怒らせたいとき、彼らはジプシーを「ファラオ」と呼びます。

https://www.youtube.com/watch?v=z86G_mAewms

「ファラオ」という名前は、ジプシー自身がヨーロッパを旅する際に発明し、使用したという可能性があります。この伝説によると、彼らはリトルエジプトからの移民であり、キリスト教の信仰を放棄したことで、ヨーロッパへの巡礼という刑を宣告されたというものです。ジプシーはこの話を住民に伝え、地元の支配者から保護の手紙を受け取り、ヨーロッパの土地を自由に移動できるようにしました。そのため、ハンガリーでは、しばらくの間、ジプシーは「ファラオの部族」と呼ばれました。また英語の「ジプシー」は「エジプト人（エジプシャン）」から濁ったものと解釈されています。

ロシア語でジプシーを意味する単語は、«цыган»（チガン）ですが、これは
いわゆるアティンガノイから来ています。アティンガノイとは11世紀ビザンチン帝国で魔術を使用していた人々を意味し、この言葉は多くのヨーロッパ言語に影響しロシア語だけでなく、ドイツ語でジプシーを意味する«Zigeuner»も同じ語源を持ちます。

出典：http://paranormal-news.ru/news/cygane_nasledniki_velikogo_maga/2013-02-10-6232

「ロマ」はジプシー語から取られており、ジプシー自身がジプシーを呼ぶ言葉でした。今では日本を含めロマと呼ぶ習慣が定着しつつあります。

ジプシーの起源についてはいくつかの伝説がありますが、実際にはインドから来たというものが有力です言語データに基づいて、1782年にドイツの科学者ヨハン・ルディガーがジプシーのインド起源説を最初に証明しました。インドを見ると、「ロマ」という名前は、現代インドでは「ヴォム」と呼ばれているカーストに由来していることがわかっています。

出典：focus.it/cultura/storia/chi-sono-i-rom

時が経つにつれ、この言葉Bomは方言でさまざまな形になりました。特に、中東とコーカサスの領土には、通常「ドマ」と呼ばれる人々がいて、その言語は「ドマリ」です。アルメニアの領土には「ロム」と呼ばれる人々がいて、彼らの言語は「ロモブレン」です。どうやら、彼らは単一のインドの祖先Bomに源を一にしているようです。

アルメニアのロム（ジプシーを意味するアルメニア語）
出典：https://islam-today.ru/foto-dna/lomy-cto-my-znaem-o-kavkazskih-cyganah-musulmanah/

ジプシーの社会的地位

現在各国、地域で生活するジプシーの社会的地位は恵まれているとはとても言えないものですが、15世紀のヨーロッパにおいては、ジプシーは当初大きな名誉をもって受け入れられました。まず第一に巡礼者という宗教的に尊敬すべき地位にあったためであり、そして第二に彼らは滞在に対して寛大にお金を払ったからです。しかし、15世紀の後半以降、ローマではジプシーがトルコのスパイであるという噂が多くささやかれるようになります。さらに占いをしているジプシー女性はもはや尊敬すべき宗教者ではなく、背教者として非難されるようになります。