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ロシアファッションヒストリー119 ロシアの発明1

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ロシア式サウナ 出典:https://mir-hotels.com/moskva-i-podmoskovje/serpuhovskiy-rayon/park-otelj-vozdvijenskoe/spa/russkaya-banya-na-drovah
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ロシアファッションブログです。ファッションを通して、ロシアの歴史を覗いています。さて、独自性のあるファッションで、それがある程度地域や国をまたいで、その機能やデザイン性が認められ、広範囲に流布されれば、それはもう発明と言ってはいいでしょう。ブラジャーやコルセット、男性のズボンの前ファスナーなどはまさしく発明です。さて、そういった意味でロシアのファッション関連の発明を探していくうちに、ファッションに限らず昔からのロシアの発明には興味深いものが多いことを知り、このブログで、読者の皆様にまとめてお見せしようと思います。

これからお見せする、ロシアの発明は、特段特許や有名科学雑誌に取り上げられるようなものだけではありません。また、ロシア語のウェブや日本で入手しうるロシア語資料以外検証しておりませんので、読者の方々の中には「ほかの国の人がもう発明してるんじゃね?」とか、そんなもん「発明とか言わねえよ。」という内容のバカげた代物も加えています。まずは、「おそロシア」を鑑賞する軽い気分でご覧ください。

 

10世紀より前の時代(古代東スラヴ人の時代)

紀元10世紀以前の時代から始めましょう。最初は古代ロシアの住居に関してです。

古代スラブ人の住居:

イズバ(Изба、丸太小屋住宅、ただし、ペチカと呼ばれる暖房や調理用の暖房設備があるもの)

以下の画像のように、今でも存在する伝統的な東スラブとロシアの住居ですが、ポイントは暖房と調理用に使える加熱装置が必ず付属していること、それから窓枠や屋根などの造りや装飾です。特に北ヨーロッパとシベリアの寒い森林気候に最適な作りになっていますね。

イズバ
出典:Public Domain

スラブ人の最古の住居は丸太で覆われた半地下住居でしたが、

丸太で覆われた半地下住居;
出典:https://www.pinterest.ch/pin/117938083970734876/

東スラブ人が北上する過程で、丸太枠による建築が広まりました。スラヴ人とは対照的に、古代ドイツ人とスカンジナビア人の住居は、土で覆われた純粋な土壁または屋根を保持する木製のフレーム構造でした。

イズバ(изба )はもともと、大きな丸太の小屋の中にある、暖房スペースを指していましたが、おそらく17から19世紀の間に、暖房スペースのある小屋そのものをイスバと呼ぶようになったそうです。

イスバは、ロープ、斧、ナイフ、シャベルなどの簡単な道具を使用して建てられました。金属は比較的高価で、のこぎりも釘もはほとんど使用されませんでした。丸太の間の隙間は粘土、苔、麻などで埋められていました。イスバは最も原始的なストーブを持っていたとされ、窓や入り口から煙を排出するだけでしたので、部屋も燻製状態で真っ黒だったことがわかっています。一酸化炭素中毒もいっぱい出たでしょうね。その後15から17世紀には、煙突を備えた伝統的なロシアのストーブすなわちペチカが広がりました。

ペチカ
出典:Publiv Domain

また、白いイスバが登場したのは18世紀のことです。外側は装飾されることも多く、窓とドアのフレームには手の込んだスラブ模様が彫刻されますし、屋根にはДомовая резьба(家の彫刻)という彫刻が施されます。

18世紀以降のイズバ
窓と屋根の彫刻が特徴
出典:Public Domain

18世紀以降のイゾバ
窓と屋根の彫刻が特徴
出典:Public Domain

ブログ筆者は、過去の仕事の関係で、欧州、アメリカ大陸と多くの国々を訪問していますが、ロシア、ウクライナでしか(もちろんベラルーシにもあるでしょうが、行ったことがないので)このような装飾を見たことはありません。

別の回で取り上げるペチカという、スラブ独特の暖房装置も含めて、古代ロシア独自の文化ですが、一応発明と言っていいでしょう。

 

バーニャ(ロシア式サウナ、スチームバス)

バーニャはロシア語で風呂の意味ですが、日本の方にはサウナやスチームバスと表現したほうが馴染みがあるでしょう。スチームバスは古代ロシアから知られていることがわかっています。紀元1世紀には存在していたと考えられていますし、確実な資料としてはロシアの9世紀の年代記にその存在が見て取れます。実は現在のロシア以外の東スラブ、あるいはフィンランドのある部族をスチームバスの発明者として主張することも可能なのですが、現代のフィンランド式サウナはドライサウナの使用に切り替わりました。一方、ロシアではまだウェットサウナが使用されているので、ロシア人たちはロシア紀元を主張しやすいというのが実際のところでしょう。ちなみにロシアのバーニャにはウェットサウナであること以外に大きな特徴があり、それを含めての発明説であれば、これは問題なくロシア紀元を主張できるでしょう。

ロシア式サウナ
出典:https://mir-hotels.com/moskva-i-podmoskovje/serpuhovskiy-rayon/park-otelj-vozdvijenskoe/spa/russkaya-banya-na-drovah

その特徴というのは、乾燥した枝と葉で作られた、かつ熱湯で醸造された特別なバーニャ用箒(ほうき)、ベニックの存在です。この箒は白樺またはオークでできており、肌への適度な刺激に加え、アロマ効果が高いものです。この箒を湿らし、体を軽く(ロシア人にとって心地よい強さも、日本人には少し痛いことも)たたくことによって、血液循環と発汗を高めます。またこの箒で、滞留して、温度差ができている室内の空気を攪拌する機能もあります。

出典:https://sauna-vodoley.ru/mozhno-li-v-saune-paritsia-venikom/

各種のロシア式サウナ用ほうき、ベニック
出典:https://www.sushivenik.ru/blog/kak-zagotavlivayut-veniki-dlya-bani

さらに、サウナで上昇した体温を下げるために、ロシア人たちは雪降る外気で体を冷やしたり近くの湖や川で冷たい水を浴びたり、池の氷の穴に飛び込んだりします。

出典:https://relrus.ru/

出典:https://www.youtube.com/watch?v=6LWw_S7Y2eg

発汗と冷却を2、3回繰り返した後、ビタミン飲料であるもう一つの発明であるクワスという飲料を飲むか、または低アルコールのビールを飲むなど、先述のイズバでリラックスすることが、一連のバーニャでの入浴の家庭です。日本の温泉浴に通づるものがありますね。

出典:https://www.tripadvisor.ru/LocationPhotoDirectLink-g811323-d7032604-i287288224-Tavern_Hlebnikov-Pushkin_Pushkinsky_District_St_Petersburg_Northwestern_.html

 

さて10世紀以前の発明、次は楽器です。

ギュスリ(Гусли)

古代ロシア語の楽器ギュスリは、複数弦の弦楽器です。考古学者たちによって、この古い楽器が発見されています。弦は5〜9本、そして12本のものもあります。

形はいろいろのギュスリ
出典:http://geo-storm.ru/cgi-sys/suspendedpage.cgi

出典:https://www.youtube.com/watch?v=hqY2e76f-oI

出典:https://lenta.ru/articles/2017/10/08/gusli/

出典:https://lenta.ru/articles/2017/10/08/gusli/

ギュスリに似た楽器で、やはり設楽が起源と思われるフィンランドのカンテレなど多くの類似のものがロシア周辺のスラブ地域にあります。ただし、歴史の長さ、そしてこの形と音色は、もはや独特のものであるため、ロシアによる発明と考えてもいいでしょう。

フィンランドのカンテレ
出典:http://www.worldfolksong.com/songbook/finland/kantele.html

 

ギュスリに関する、最初の言及は紀元591年にさかのぼります。ギリシャの歴史家テオフィラ・クトシモカタによる論文で、キエフルーシの領土からスラブ人が使用した楽器についての説明がありました。バヤンと呼ばれる伝説の語り手やスラブ神話の中の英雄の姿は、ギュスリなしには想像できないほど、この古い楽器は古代からのロシア文化に浸透しています。

バヤン
出典:Public Domain

 

現在では、いわゆる巡礼ミュージシャンやコメディアンによって広く使用され続けています。

いかがでしたでしょうか。他にも興味深いロシアによる発明がありますので、次回以降も紹介していきたいと思います。

 

参考としたURL:

Российские изобретения — Русский эксперт
Жарникова C. В. - Секрет гонения на гусли,Гусли крыловидные - КАМАРИНСКАЯ. Gusli
Гусли. Материал из свободной русской энциклопедии «Традиция»

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