ロシア民族衣装のお店キリコシナ
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ロシアファッションヒストリー47 ロシアの霊性3

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ロシアファッションヒストリーをテーマとしたブログです。「ロシアの霊性」シリーズの3回目です。今回からルパシカやサラファンの刺繍に使われるスラブ特有の絵柄について特集します。下の画像のような絵柄ですが、その歴史は旧石器時代のから始まっています。貴重な自然の情報が繰り返し絵柄に取り入れられ、現在に至りました。そのようなイメージは、絡み合った関連付けを包み込み、単に装飾性という意味だけではない、自然への畏敬や交歓等の祈りを理解することで、絵柄を使った作品の深みを実感することができます。

伝統的なスラブのパターン

 

古代スラブ文化の絵柄の意味

スラブの絵柄は、多くの神々や自然にまつわる意味を含んでおり、それ故に特別なエネルギーを持っているとロシアや他のスラブの国の人々に考えられています。古代のシャーマンは絵柄の助けを借りて、神々とコミュニケーションをとり、自然の力に敬意を払い、またある時は畏れました。自然の中で暮らしていた人々は、布、食器、生活雑貨に祈りのモチーフを移しより身近なものにしました。絵柄の意味はそれぞれ生活に必要な場所に据え付けられ、家族、家を守ろうとしました。この目的のために、これらの絵柄は自然と家の境界である窓、入り口、そして自然と人との境界である衣服に施されるようになりました。

絵柄の有する色

病やケガの不安から、これらをつかさどる悪霊から身を守るため、絵柄が衣服に施されました。特に物理的に脆弱な部分でもあり、また衣服の内部への侵入口でもある、首、襟、裾、袖に刺繍されます。その絵柄のには込められた祈りの意味があります。

刺繍

昔から刺繍のほとんどの色は、生命の象徴としての赤でした。赤は、エネルギー、火、つまり太陽のしるしでもあります。赤は「健康な体に熱を与え、悪魔の邪眼を取り除く」と考えられてきました。

赤い色

 

スラブでは、他文化と同様、この赤色は多くの意味多くの意味を象徴します。

太陽:すべての生物に生命を与える力として

春:人生の始まり

また、赤い夏という言葉は、夜明け、人生の勝利を意味し

赤い乙女と言えば、健康的で力に満ちた美しい少女を意味します。

 

赤い模様

赤と組み合わせることで、装飾の保護効果を高めると信じられてきました。黒は肥沃な母なる地球の象徴です。そして、この色は女性を不妊から守る役割も与えられていました。

黒い飾り

黒のジグザグに刺繍された模様は、受精する必要のある女の子が着用する服に施され、妊娠が期待されました。このジグザグは耕された畑を象徴するものであり、「種子が発芽する準備できている状態」、つまり受精の準備ができていることとの同義性が、このような祈りにつながりました。

 

青い水は地球の上の空、その反射です。そうしたことから、この色は天候など自然の要素から人々を守ると信じられてきました。狩猟や戦争のため、家を離れる男たちの衣服に装飾される色でした。確かに今でも青は男赤は女というイメージは残っており、古代スラブの時代からあるものだったのですね。日本でも定着している色のイメージですが、我が国の色の歴史も調べたくなりました。

青色

スラブでは、更にこの青は、「女性を保護する意欲の表れ」と考えられ、若い男性が青い刺繍のショールを女の子にプレゼントした場合、これは「人生の終わりまで彼が選んだものを保護する準備ができている」という深刻な意図を持っていたことを意味しました。

青い飾り

緑色は植物の力の恵みで、傷から身を守る色と考えられてきました。森や若い苗木のイメージから、若さ再生の象徴でもあります。

緑のスラブのパターン

ロシア語の中には緑に関連した表現がいくつかあります。

緑豊かな庭園:繁栄した生活

裏の木の緑:遠く離れていることを表す

ワインの緑:強いアルコール中毒 という否定的な意味合いを持っていました

 

緑の飾り

またロシア南部地域では、「緑の草」、「緑の木」、「緑の山」というおまじないの言葉があり、これは悪霊を追い払うためのものでした。スラブ神話には体に緑の部分を持つ登場人物が多数出てきます。例えば、人魚と小人は緑の髪と目をもっており、そして神話の中の水生生物はすべて深い緑の色をしていました。そういえば、日本の想像上の水の生き物、河童も緑でしたね。緑も赤や黒に負けない霊性豊かな色でしたね。

儀式用ドレス

白は昔から、純粋明るい聖なるものと結びついてきました。ただし、同時に喪の色でもありました。他の色がこの色と組み合わされているため、白は調和和解の象徴でもありました。この白のイメージは我々日本人にも共通しますし、割とユニバーサルに共通なイメージを持てる色だと思います。

パターンの白い色

スラブにおいて白と関連付けられた表現には以下のものがあります。

白い小さな手、白い顔、白樺:純粋かつ明るい考えを持っている人々

白いテーブルクロス:訪問客の邪悪な考えを取り除く

白いシーツ:死霊からの保護

白い下着:悲しみと病気に対する障壁

白いエプロン:女性の臓器の保護

いかがでしたでしょうか。

次回も「ロシアの霊性」シリーズは続きます。いよいよ絵柄についてがテーマとなりますので楽しみにしてください。

 

参考資料

・Ornament_russkoy_narodnoy_vyshivki_Maslova

・Levacheva_T_A _-_ Pomorsky_traditsionny_kostyum

https://ethnoboho.ru/slavyanskiy/tradicionnyj-slavyanskij-kolorit-voploshhennyj-v-russkoj-narodnoj-rubaxe.html

https://ethnoboho.ru/slavyanskiy/tradicionnyj-slavyanskij-kolorit-voploshhennyj-v-russkoj-narodnoj-rubaxe.html

・Uzory_starinnogo_shitya_v_Rossii_1880g

 

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