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ロシアファッションヒストリー21 ホフロマとゴロデッツ

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皆さん、当ブログへご訪問ありがとうございます。前回はロシアファッションヒストリー20として、ロシアの民芸品、ホフロマについてご紹介しました。ロシアには、ホフロマに限らず、木材関連の民芸品、芸術品はほかにもあります、今回はホフロマに次いで世界に認められているロシアの民芸品ゴロデッツをホフロマと比較しつつ、ご紹介していきたいと思います。

ホフロマとゴロデッツ

木材はロシアで最も一般的な材料の1つです。その芸術的な加工の特別なスタイルの伝統は、ホフロマやゴロデッツといった広く知られている木工品があるニジニノヴゴロド地域を含む、ロシアのさまざまな地域で発展しました。伝統的な民俗文化のこれらの最も古い中心は、先述したようにニジニーノヴゴロドトランスヴォルガ地域の北部にあり、互いに数十キロメートルしか離れていません。にもかかわらず、製法やその他の芸術的システムは各々独創的であり、互いに類似してはいません。

では、ホフロマとゴロデッツ、この違いを見てまいりましょう。

 

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上の画像はゴロデッツ

 

ホフロマは、「木製の料理関連の道具」としてがもっとも有名で、長い間、形の美しさと簡潔さ、さまざまな植物のパターン、赤、黒、金色の組み合わせに基づく芸術性と実用性で注目されてきました。高価な金属製の容器を模した珍しい色は、オリジナルの方法で実現されており、数世紀にわたってその価値の核となっています。木製の調理器具は粘土溶液で下塗りされ、亜麻仁油が染み込み、昔は銀粉、現在はアルミニウム粉で覆われ、塗装され、ニスが塗られます。その後、高温の炉で焼入れが行われます。ニスの塗布によって、強度と美しい色を獲得し、それを通して輝き金のようになります。

さてホフロマの職人とは異なり、ゴロデッツの職人は、木製の食器などの道具ではなく、木製のパネル、椅子をペイントし、一般的には茶会、民俗的な祭り、乗馬、等のお祝いや儀式のシーンで用いられるものでした。


                カップ。2007年。 ホフロマ

                 箱 1997 ゴロデッツ

 

木製の調理器具は耐久性はあるものの、実用に供されるもののため、昔のものがきれいなままで保存されている例がごく少ないのが残念です。うちも、料理に使っていますし。よって、現在博物館などでみられる古いホフロマは1900年前後のものがほとんどです。

 


           1930年代、ホフロマ塗りの初期のもの

                小麦粉のスクープ 1879年 ホフロマ

さて、その1900年ごろの興味深い作品の中で、白と銀色の背景にホフロマの絵画が施されているものとしては珍しい家具があります。これは針仕事用のセット(A.G. Podogovが作成した椅子とテーブル)で、1930年代後半にモスクワで、次にザゴルスクで働いていた民俗工芸博物館の作業所の職人によるものです。


                針仕事用のセット 1930年代

                家具のセット 1930年代半ば

 

1950年代以来、ホフロマの絵付けを施した製品の主な生産はコベルニンスキー(ホフロマ企業)およびセメノフ(ホフロマ絵画企業)の2か所に集中しています。これらの企業の主要な職人によるさまざまな国内および海外展示会のために作られたユニークな作品 をお見せしましょう。


               ドールウェアのセット 1953年

                  ジャムの入れ物 1966年

              キャンディボウルとボウル 1972年

 

一方ゴロデッツコレクションは非常に広範です。

ゴロデッツの工芸は、18世紀の終わりに始まります。ゴロデッツの大きな村の近くに位置するいくつかの小さな村の農民は、糸巻の道具を作ってそれを販売していました。そしてその糸巻きの道具を使う際に使われた、下敷きをドンツエと言いますが、これが女性への贈り物としてよく用いられました。このドンツエがさまざまな儀式で使用される品物でもあったため、美しく装飾されていき、仕事の後、それらは家の壁に飾られるようになりました。

ドンツエの装飾には、ロシアの民俗芸術の彫刻の独特なテクニックを使用しました。1870年代までに、彼らは彫刻から絵画に切り替え、騎手、お茶会のシーン、お祭りなどを描きました。1920年代までには、機械化によりドンツエの必要がなくなり、ゴロデッツの職人は他の製品、例えば箱、装飾パネル、おもちゃを装飾するのに彼らの絵画技術を広く使い始めました。


                 ドンツエ。XIX世紀の前半。

                 ドンツエ。1890年代前半

ドンツエ アドリアノーブルの戦い 1881年

 

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上のゴロデッツはI.K. Lebedevの作品、「Glupovの町の知事」、

 

下のゴロデッツは Saltykov-Shchedrinの作品「グルポフの街の歴史。」

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ゴロデッツ芸術の巨匠と言えばA.E. コノヴァロフ氏です。戦後の漁業の復活に関する研究を率いた研究者としても有名です。1980年代半ばまで、コノヴァロフはゴロデッツ絵画企業のクリエイティブディレクターであり続けけました。まさに20世紀におけるゴロデッツ芸術を発展させ、確立した人です。以下に氏の作品を挙げます。


              グルポフ市のスクリーン。1938年。

                パネル「井戸で」1980
               パネル「Voiced Maslenitsa」1989

 

では1990年代の作品も見てみましょう。


             おもちゃのエンジンSL 1994年

          装飾プレート「要塞の壁。洗礼者ヨハネのキリスト降誕教会」1997年

 

ホフロマとゴロデッツその違い

さて、ホフロマとゴロデッツを一緒に見てきましたが、ここで両者の違いを説明しておきましょう。

ホフロマの絵

                    ホフロマの絵

ユニークなホフロマの絵は、他の民芸品と混同することは容易ではないですね。職人は基本は花飾りをモチーフとします。画の重要な特徴は金色の背景です。豊富なオーバーフロー筆致は、背景の赤黒パレットの要素によって効果的に「影」と言いますか、立体を表出しているのが特徴です。

 

ゴロデッツの絵

                 ゴロデッツの絵

ホフロマとは異なり、ゴロデッツの装飾品には金のモチーフが全くありません。しかし、ホフロマのカラーパレットは少ないのと対照的に、ゴロデッツ絵画の職人は多くの色を使用し、「色合い」と「白」で冒険します。またホフロマの絵では具体的な状況図を見つけることはできませんが、ゴロデッツの工芸品では、さまざまなお祝い、娯楽イベント、日常生活のシーンが描かれ、それによって人気を得たのです。

 

ホフロマをモチーフとしたファッション

それではホフロマ柄が、衣装に使われている例を見てみましょう。

ロシア通販サイトより
出典:https://zhurnal-lady.com/moda/stil/odezhda-v-russkom/

ロシア通販サイトより
出典:https://zhurnal-lady.com/moda/stil/odezhda-v-russkom/

 

ホフロマ刺繍のテープを用いて、ロシア伝統の手縫い製法で作られたルパシカがこれです。

いかがでしたでしょうか。ホフロマ芸術やゴロデッツ芸術の魅力を少しでも紹介できていたら幸いです。そしてロシアファッションの一つのモチーフとしても大切にしていきたい素材だと思います。

さらにロシアファッションストーリーは続きます。

参考資料及び文献(すべてロシア語です)

https://ru.russianarts.online/crafts/28-xoxloma/
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