ロシア民族衣装のお店キリコシナ
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ロシアファッションヒストリー96 イヴァン・クパラ1

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出典:https://ppt-history.ru/raznoe/ivana-kupala-chto-eto-za-prazdnik.html
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ロシアファッションブログです。前回までロシアの古儀式についてお話してきました。すでに一度は消滅して、復活を試みている儀式を取り上げたので、よほどのロシア・スラブ通でない限りご存じないものばかりだったのではないでしょうか。今回からは、少なくともロシア人、あるいは他のスラブ文化の人なら必ずご存じの儀式、むしろイベントと言っていい規模となっているお祭りをご紹介いたしましょう。

Праздник Ивана Купала(イヴァン・クパラの休日)

 

夏至を祝う休日であるクパラの日は、古くから知られ、宗教弾圧のソ連時代を通してさえ継承されてきました。

ロシア正教正統派の人々はクパラを聖人、洗礼者イヴァンとして理解しています。この夏至を祝う休日の名称はいくつかあり、「イヴァン・クパラの休日」の他に「イヴァン・クパラの饗宴」、または単に「クパラの夜」とも呼ばれています。

ロシア正教の教会はこの休日の式典を決して歓迎していたわけではありません。司祭たち自身はこの日を「イヴァンクパラ」と呼ぶのではなく、「洗礼者ヨハネのキリスト降誕」と呼びます。

ロシア語のイヴァンは、洗礼者ヨハネに由来します。その意味で、この日をイヴァンと関連させれば、ロシア正教の儀式と考えられます、一方、異教を強く信じる人々はイヴァンという名に強く抵抗し、クパラという名称しか使いません。そうした人々にとっては、この休日は単に「クパラの休日」と呼ばれます。

洗礼者ヨハネ
出典;Public Domain

クパラの祭典が行われる日付は本来、年間最短の夜です。スラブ人が、夏の太陽の神を崇拝しての儀式ですから、カレンダーの日付によらず純粋な夏至の日なのです。ですのでクパらの休日は別の呼び方「」とも言われます。この日以降、日照時間が減り始め、自然は徐々に秋に移るからです。キリスト教の到来で、国民の休日は教会儀式と合体しました。そして、ここで混乱が発生しました。つまり教会のカレンダーが応用され、キリスト教の教えと休日の日付がずれるということが起きたのです

したがって、休日の古代の伝統を復元する場合は、太陽によって日付を決定する価値があると考えるべきで、2020年に、6月20日から21日まで夏至の 夜にクパラの休日を祝うことになるはずでした。至点の正確な時刻は21:44 GMT(6月21日モスクワ時間の00:44)です。ただし、コロナ騒動のあおりを受けて、少なくとも今年は大々的にクパラの儀式を行った地方は見当たりません。こういう時こそ感染を回避しながら大切な伝統行事を行えばいいのに、と思う浅はかな人間はブログ筆者だけでしょうか。

よってロシア正教正統派の教会によっては、必ずしもこのお祭りの日(夏至の前日と当日)を6月21日から22日に祝うことを否定しています。一部の教会はこの日を7月7日に祝い、また別の人々は6月24日に祝います。

このように、クパラの休日は本来スラブの異教の儀式であり、キリスト教会はこの習慣にあらがうことができず、無理にキリスト教的意義を与えたということができます。

因みに「クパラの日」と「クパラの夜」は本来きっちり使い分けなければならない言葉です。「クパラの日」と言ったら、その日が一年で最も長いということですので、冬の長いスラブの人々は単純に太陽の恵みを祝福し幸せを感じます。一方、彼らが「クパラの夜」と言った場合、それらは年間で最も短い夜の、神秘的な時間を意味します。

 

イヴァン・クパラの休日の前夜

スラブの人たちの祖先は、クパラの夜の前夜を「怖い夜」と考えていました。これは、ゴーゴリの作品「イヴァン・クパラの前夜」にも著されています。動画があります。イヴァン・クパラの悪魔性、神秘性がよくでています。

イヴァン・クパラの前日が「魔女の日」と呼ばれることもありました。この日、すべての魔術師が安息日として集まり、多くのいたずらと残虐行為を犯したという神話からです。

 


太陽の休憩のための浄化の儀式、クパロ

 

クパラの夜の前日

そのような悪魔的なクパラの日の前夜が明ける朝、つまりクパラの夜の前日の朝、人々はクパラの浄化を始めます。これはスラブの休日の重要な部分であり、特に井戸の洗浄は何よりも優先されました。その日に水を浄化すれば、水が「健康」になると信じられていました。

ロシアの井戸
出典:https://www.booksite.ru/fulltext/girls/rus/san/166.jpg

午後は薬草ほうきを用意しました。ここでのほうきは、バーニャ(ロシア式サウナ)で蒸気を均一化したり、体をたたいて血行を良くするためのほうきです。

出典:https://promokodreg.ru/zagovor/zagovory-i-molitvy-protiv-boli-v-spine.html

昼食後、スラブ女性たちは森に行き、歌を歌いながら白樺のほうきを準備しました。この日に集められた小枝で作ったほうきは魔法を有していると考えられます。入浴時に特別な力を与えるだけでなく、子牛にほうきで作った服を着せると、子牛と飼い主は牛乳を多くえることができます。浴室の屋根の上にほうきを投げることによって将来を占います。ほうきが投げる人の上に落ちると、人生は赤く(つまりロシア語で美しく)なります。

休日イヴァナ入浴

この日は、この一年で収穫されたハーブを利用するための最も良い日でもあります。タイム、シダ、イヴァンダマリア、キンポウゲ、ミント、セントジョンズワート、コルツフット、クサノオウ、カモミール、よもぎなどは魔法のハーブ、輝くハーブと呼ばれ、この日の夕方のバーニャに捧げます。スラブの人々は、このスラブの休日に、これらのハーブが最も効力を持つ日である言います。

年若い女性たちが、バーニャのための輝くハーブを用意しているとき、大人の女性達は別にタイムの葉のみを集めて鉄板の上で燃やし、村中を回り、また新しい草を集めては燃やします。

 

こうした種々の仕事の中ででこの日最も重要なものは、スラブ伝統のお守りナウザを作ることでしょう。

スラブの人々は夏至が神聖な意味を持っていると考えます。この日は大切な夏のピークであり、冬至の反対の日です。太陽が昇る日であり、昼と夜の境目に、世界の現実と魔法の境界が消滅すると考えます。その瞬間、自然、人々、神々すべてが統一されるのです。よってそれに合わせ、お守りのナウザを作り、神や自然への願いごとをこめることが重要な仕事となります。

ナウザ作り出典:https://fsvus.jimdofree.com/%D0%BE%D1%81%D0%BD%D0%BE%D0%B2%D0%BD%D0%B0%D1%8F-%D1%87%D0%B0%D1%81%D1%82%D1%8C/3-%D0%B3%D0%BB%D0%B0%D0%B2%D0%B0-3-1-%D1%81%D0%BB%D0%B0%D0%B2%D1%8F%D0%BD%D1%81%D0%BA%D0%B0%D1%8F-%D1%83%D0%B7%D0%B5%D0%BB%D0%BA%D0%BE%D0%B2%D0%B0%D1%8F-%D0%BC%D0%B0%D0%B3%D0%B8%D1%8F/3-4-%D0%BD%D0%B0%D1%83%D0%B7%D1%8B-%D0%B8%D0%B7-%D1%82%D1%80%D0%B0%D0%B2/

 

ナウザは、は特にクパラの休日と関連したお守りではありませんでしたが、スラブ人が結び目に魔法を読み取ったこの有名なお守りは、大切なものを保護し、癒し、障害を克服し、悪霊を止め、精神的な強さを維持するためのものです。こうしたナウザの特性と、クパラの日、それにハーブを結び付け、ハーブで結ばれた結び目のナウザを作ることによって深いスラブ的な意味が創造されることになります。

草によるナウザ出典:https://heaclub.ru/uzelkovaya-magiya-nauzy-slavyanskaya-magiya-uzelkov-svoimi-rukami-shemy

 

ナウズの人生の喜び

現在、一般的なナウザはひもで作られます。

他にも、いくつかクパラの世の前日にすることがあります。それは Богатыньки(ボラチニキ), や багавочки (バガボチキ)などの12の植物を集めて占いを行うことです。この日まで咲かなかったつぼみを摘み取り、夜に枕元に置いて朝を待ちます。もし、それが咲いたら、そのつぼみを集めた女の子はその年に結婚することになるでしょう。

出典:https://ppt-history.ru/raznoe/ivana-kupala-chto-eto-za-prazdnik.html

女の子たちはハーブや花の輪を編みます。それらを川に浮かべ、どれだけ遠くまで流れるのかを見ました。花輪が岸に打ち上げられれば、少女は今年結婚する運命にありません。花輪が決めた場所まで到達したとき、すぐに仲人が花婿候補を連れてきてくれることを意味しました。

出典:https://ppt-history.ru/raznoe/ivana-kupala-chto-eto-za-prazdnik.html

そしてクパラの夜の飾りに欠かせない、シダの葉を集めて夜を待ちます。ただし、クパロの夜にシダの花を探しに行くとき、これは慎重に行わなければなりません。民話によると、この花は汚れた力に守られています。したがって、大切な花を摘むときは、背中の物音や目の前の草むらがどれほど怖いかに関係なく、女の子は後ろを振り返らずに家に帰る必要があります。

出典:https://ppt-history.ru/raznoe/ivana-kupala-chto-eto-za-prazdnik.html

こうしてクパラの夜が始まります。次回は「クパラの夜」をお届けします。

 

参考としたURL:

https://vdvsn.ru/articles/soul/kak-splesti-oberegi-nauzy/

 

 

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