ロシアファッションブログです。前回から10世紀以降、キエフルーシ時代以降の発明品を解説しています。今回も10世紀以降の時代に焦点を当てていきます。最初は建造物です。
マルチドームの教会
マルチドームの教会はロシア正教会の教会として、非常に一般的な形式であり、ロシアの旅行ガイドブックには必ず登場しますね。
この教会の屋根一つとってみても、ロシアを他の正統派の国やキリスト教の宗派とおおきな隔たりがあることを理解できます。
ルーシ建国の直後に建てられた最も古いロシアの教会には、すでにマルチドームがあり、歴史家の中にはロシアのキリスト教到来以前の、いわゆる異教の寺院から来ているのではないか考えている人もいます。
他に、いくつかの現存する教会を挙げますと、
他にサンクトの教会は有名ですね。
ウクライナのキエフにも、有名なマルチドームの教会があります。
ドームの数はロシアの建築において象徴的な意味を持っていることが普通です。例えばドームの数が13ならば、12人の使徒とキリスト(ロシア語ではハリスト)を象徴し、25のドームはこれに、旧約聖書の12人の預言者を意味しました。ロシアの教会の多くのドームは木で作られていることが多く、ビザンチンのドームよりも比較的小さいことが特徴です。
キッセル(Кисель)
キッセルは、通常はベリー類で作られる甘くしたジュース、オート麦、トウモロコシ、またはジャガイモのでんぷんを使用して作られるデザートで、時には赤ワインまたはドライフルーツが追加されます。
デザートは熱くしても冷たくしても提供されますが、製造に使用する澱粉の量が少なくして飲み物とする場合も多いです。
この飲み物キッセルは、ロシアの年代記「Povѣstvremennykhlѣt」(古代スラブ語の表記)で最初に言及されました。これは、997年のキエフ・ルーシのベルゴロド公とペチェネグの抗争を描いた年代記です。
その逸話というのは;
ベルゴロドの食料が尽き飢餓が始まると、住民たちは老人のアドバイスに従って穀物屑でキッセルを作り、さらに見せかけだけの井戸を2つ掘り、それぞれの井戸の底に置いた木桶にキッセルを満たした。そして、住民たちはペチェネグ族の大使を街に招き入れ、大使の目の前で偽の井戸からキッセルと飲み物を汲み上げてもてなした。大使は井戸から飲料が出てくることに大いに驚き、それを聞いたペチェネグ人は、大地がルーシ人達を養っていると思い、これを畏れ、包囲を解くことを決めた。
というものです。こういう歴史があるとロシア人の発明と誇る気持ちがわかりますね。
最後においしいキッセルの作り方の動画を紹介します。
いかがでしたでしょうか。今回はマルチドーム教会とキッセルの話題でした。
次回もロシアの発明シリーズは続きます。
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