ロシアファッションヒストリー７５　ベラルーシのデザイナー3

オルガカーダッシュと言えば、「コウノトリ」というくらい、はっきりとしたモチーフの使い方をするブランドです。

ベラルーシ人は、もともと情緒が豊かで、詩の大好きな国民性、また鳥への愛着が強い人々という印象をブログ筆者は持っていますが、オルガカーダッシュはこうした国民性をそのまま具現化したブランドということができるでしょう。

ブランド創始者のオルガは、デザイナーとなるため、ベラルーシの多くのデザイナーの取るオーソドックスな歩みをたどります。彼女は大学を卒業し、制作に従事し、お金を節約しつつ生地を購入し、最初のコレクションを縫い、徐々に認められ、そしてブランドを設立するというストーリーです。こうして彼女は2011年にブランドを設立しました。

オルガカーダッシュの服のスタイルは非常に実用的で日常使いに適したものです。北国の寒い季節のコスチュームを念頭に置く場合、このブランドのデザイナーは非対称の毛皮のポケットを独自のスタイルとして提案します。こうして、コウノトリに負けない、印象深いディテールを提案します。他には、フリンジ付きのコート、スパンコールのドレス、奇抜なデザインのプリントのスウェットシャツなどです。

アレーナ・ゴレツカヤは、ウェディングドレスとイブニングドレスで有名なベラルーシのファッションハウスPapilioのオーナー・デザイナーとしてよく知られています。2002年にミンスクにオープンしました。現在ではロシア、ヨーロッパ、アメリカなど、20か国以上の店舗で販売されるグローバルブランドとなっています。

Papilioのウェディングドレスのカタログがとてもよくできた画像なので、リンクを挙げておきます。楽しめると思います。

2009年、もう一つのアレーナ・ゴレツカヤブランドを立ち上げました。こちらのブランドは、ミンスクの多くのショッピングセンターやベラルーシの他の都市で見ることができます。こちらはフォーマルなラインではなく、エレガントなビジネス、カジュアルを中心としますが、スポーツスタイルは除いているようです。

現在では娘の、アレクサンドラ・ゼブルンが、アレーナ・ゴレツカヤブランドのデザインを行っており、母がPapilioのデザインを受け持っています。

LSD Clothing のフラッグシップはエコレザージャケットです。ミンスクの主なエンターテイナーが皆購入したとされるほど大ヒットした商品です。

エコレザーってフェイクレザーのことですが、言葉のポジティブ、ネガティブイメージを考えると、いい命名ですね。エコかどうかは、全てのエコ製品と同じで、きっちりエネルギー計算しないと出てきませんけど。

LSDの服は黒のジャケットで有名になりましたが、現在のコレクションの基本は、ミニマルなトレンチコートで、自然で控えめなトーンを特徴としています。

ドーファミンは、コンビネーションドレスや、薄手の着物、シルクのスーツ、ゆったりとしたコートが主要な製品ラインです。外出用、あるいはイブニングパーティーを想定したデザインが特徴です。

ブランドの創設者であるVeronika Khoroshunは、ロンドンのフィレンツェでファッションを学び、Emilio PucciやAquazzuraなどの著名なファッションハウスで修業を積んだ後、ミンスクに戻って自分のブランド、ドーファミンを2014年に立ち上げました。

ドーファミンは例のドーパミンから来ており、これは神経伝達物質で、快の感情、意欲、学習などに関わっています。ヴェロニカは、自身の服を着ることで、生きることへのポジティブさを反映させようというコンセプトでこのブランド名を選びました。

ベラルーシのスベトラーナはロシアで有名なウリヤナ・セルギエンコと同じ方向を向いたデザイナーです。今はやりのほとんどのデザイナーが、ユニセックス、オーバーサイズ、そして斬新なフォームやデザインを考案する中、これらの2人のデザイナーは、昔ながらの「人形、おとぎ話、漫画」の形で女性らしさを表現しました。さらに、ウリヤナとスベトラーナの両方の作品は非常に高価なものが多いです

品質とプレミアム素材を考えるこのレベルの高価格は妥当かも知れません。まずはウリヤナのファッションショーから。

次に、スベトラーナのPintelのウェブサイトからドレス、コート、コスチュームを見てみましょう。これらはシュールで、まるで紙から切り取られ、アクリル絵の具で描かれたかのようです。

スベトラーナ・ピンテルの方は7年間イスラエルに住んでおり、永住することもできましたが、故郷ベラルーシに戻り、衣料品ブランドを創立することにしました。ピンテルは2016年に起業されたブランドです。